【管理栄養士が解説】ジメジメ梅雨に潜む食中毒の危険!家庭でできる簡単予防法

【管理栄養士が解説】ジメジメ梅雨に潜む食中毒の危険!家庭でできる簡単予防法。

なんだかお腹が痛い。さらに下痢や吐き気、頭痛、発熱などの症状も…。もしかしてこれは食中毒?
「うちは大丈夫」と思っているあなたの家庭も、食中毒のリスクから逃れることはできません。この記事では、梅雨の時期に特に気を付けるべき食中毒の種類や、家庭でできる予防策を、わかりやすく解説します。

ジメジメする梅雨の時期は食中毒に要注意!

腹痛、嘔吐、下痢…。こんな症状が出たら、食中毒の可能性があります。食中毒の主な原因は、カンピロバクターや黄色ブドウ球菌などの細菌、ノロウイルスなどのウイルス、フグや毒キノコなどの自然毒、ヒスタミンなどの化学物質、アニサキスなどの寄生虫によるものが挙げられます[1]。

では、毎年どれくらい食中毒が発生しているのでしょうか?令和6年には日本国内で1,000件以上の食中毒が報告され、患者数は14,000人以上にのぼります。そのうち家庭内での発生は1割以上を占めていました[2]。
特に家庭での食中毒は症状が軽視されやすく、氷山の一角に過ぎないとも言われています[1]。

細菌の活動が活発化!高温多湿がもたらすリスク

梅雨の時期は、気温、湿度ともに高いため、細菌が好む環境です[3]。厚生労働省の統計でも、令和4、5年度は、6月の細菌性食中毒の発生件数が特に多く報告されています[4]。

梅雨に特に注意すべき食中毒菌とは?

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梅雨の時期に特に注意したい食中毒菌には、どのようなものがあるのでしょうか?食中毒菌の種類とその原因、主な症状について下記にまとめました[1,5]。

カンピロバクター

原因:加熱不十分な鶏肉、殺菌されていない井戸水や湧き水、生肉に使った包丁など。
主な症状:下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感。

黄色ブドウ球菌

原因:おにぎりや寿司、お弁当など。人の手や食品を介して繁殖。長時間の常温放置。
主な症状:悪心、嘔吐、下痢。

ウェルシュ菌

原因:カレー、シチュー、煮物などの大量調理食品。加熱調理後の常温放置。
主な症状:腹痛、下痢。

サルモネラ菌

原因:卵や食肉など。サルモネラ菌保菌者や調理器具を介して、さらに感染が広がるケースもある。
主な症状:発熱や腹痛、下痢、嘔吐。

腸管出血性大腸菌

原因:加熱不十分な肉、生野菜など。
主な症状:腹痛、水溶性の下痢、出血性の下痢。

腸炎ビブリオ

原因:魚介類など。
主な症状:水溶性の下痢、腹痛、頭痛、嘔吐、発熱、衰弱、悪寒、しぶり腹、吐き気。

ボツリヌス菌

原因:ボツリヌス菌に汚染された自家製食品、保存食品など。
主な症状:悪心、嘔吐、下痢。

家庭でできる食中毒予防策!基本として徹底したいコト

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食中毒の原因となる細菌やウイルスは目に見えないため、どこにいるかわかりません。身近に潜んでいる食中毒菌から身を守るために、今日からできる予防策をチェックしてみましょう[1,3,7,8]。

手洗いの徹底

  • 帰宅時、トイレ後、調理前、肉や魚などを触った後、食事の前など、こまめに手を洗う
  • 石鹸を泡立て、指の間、爪の間、手首まで、丁寧に洗う
  • 二度洗いも効果的

食品の購入と保存

  • 肉・魚は別々に包装し、保冷剤(氷)を使って持ち帰る
  • 買い物の最後に温度管理が必要な食品は、購入後すぐに帰宅する
  • 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下に保つ
  • 消費期限・賞味期限を守る
  • 冷蔵庫や冷凍庫は詰めすぎない(目安は7割)

調理の際に気をつけたい!家庭でできる食中毒予防策

体調管理

  • 下痢、嘔吐の症状がある時は無理に調理をしない
  • 手や指に傷がある場合は手袋をする

キッチンの衛生管理

  • 台所のゴミはこまめに捨てる
  • タオルやふきんは清潔なものと交換する
  • すぐに手洗いができるようせっけんを用意する
  • 調理器具は使用後すぐに洗い熱湯消毒をする
  • 台所用漂白剤を活用する
  • まな板や包丁は肉用、魚用、野菜用を使い分ける(使い捨てのまな板もおすすめ)

食材の管理

  • 生と加熱済みの食品は分けて保存する
  • 生の肉や魚の汁を、他の食品につけない
  • カット野菜はよく洗う
  • 解凍は冷蔵庫、電子レンジ、流水を使う

十分な加熱

  • 中心部まで十分に加熱する(目安:75℃で1分以上)
  • 調理を途中でやめる時は冷蔵庫に入れ、再び調理をする時は十分に加熱する

食べるシーンで気をつけたい!家庭でできる食中毒予防策

調理後の食品を放置しない

  • すぐに食べない場合は冷蔵庫で保存する
  • テイクアウトした料理は、長時間持ち歩かず、帰宅後すぐに食べる

残り物は適切に保存・管理する

  • 残り物は早く冷えるように、浅い容器に小分けにして保存する
  • 残った食品は早めに冷蔵庫へ入れ、温める場合は十分に加熱する(目安:中心温度が75℃で1分以上)
  • 電子レンジを使う場合は、途中でかき混ぜる
  • ちょっとでも怪しいと思ったら捨てる

今日からできる!食中毒予防で快適な梅雨を送りましょう

食中毒は、日々のちょっとした心がけで防ぐことができます。万が一、腹痛や下痢、嘔吐などの症状が出た場合は、自己判断で下痢止めなどを飲まず、速やかに医療機関を受診しましょう。まずは調理前の手洗いを見直すことから始めてみませんか?

著者プロフィール

中川麻奈美 管理栄養士

管理栄養士 中川麻奈美
病院、福祉施設に勤務した後、学校給食業務に携わる。より人々の健康作りに貢献したいとの思いから、特定保健指導やヘルスケアコラムの執筆活動にも注力している。主に生活習慣病の予防を中心に、健康的な食生活を支えられる科学的根拠のある情報を発信することを大切にしている。
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