【管理栄養士が解説!】牛乳だけじゃない!子どものカルシウム不足を防ぐ3つの食品群と摂取のコツ

子どものカルシウム不足を防ぐ3つの食品群と摂取のコツ

「カルシウム=牛乳」と思い込んでいませんか?実は、牛乳以外にもカルシウムを効率的に摂れる食品はたくさんあります。カルシウムは、骨や歯をつくる上で欠かせない栄養素であり、特に子どもの成長期には必要量が大きく増加します。この記事では、成長期の子どもに必要なカルシウムの摂取量や、牛乳に頼らずカルシウムを摂れる食品群とその摂取のコツを解説します[1]。

なぜ成長期にカルシウムが大切なの?

カルシウムは、骨や歯の形成に欠かせないミネラルです。人間の体重の1〜2%の割合を占め、その内の99%は骨や歯に存在しています。特に1〜17歳の成長期には骨量が増加するため、通常より多くのカルシウムが必要となります[1]。

子どものカルシウム摂取量は足りていない?

厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2025年版)』によると、6〜14歳の男児では600〜1000mg、女児では550〜800mgと、体が成長するにつれて1日に必要なカルシウムの摂取量(推奨量)も多くなります[1]。しかし、厚生労働省の『令和5年国民健康・栄養調査』によると、多くの子どもたちが推奨量を下回っており、慢性的なカルシウム不足が懸念されています[2]。  

【1日に必要なカルシウムの摂取量(推奨量)】
※この量を摂っていれば、ほとんどの人が不足しないと考えられる量

 年齢(歳)男児(mg/日)女児(mg/日)
1~2450400
3~5600550
6~7600550
8~9650750
10〜11700750
12〜141000800
※厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』より[1]                                      

牛乳だけじゃ足りない?カルシウム摂取の注意点!

子どものカルシウム不足を防ぐ3つの食品群と摂取のコツ

牛乳200ml(コップ1杯)には、約220mgのカルシウムが含まれています[3]。確かに効率のいい供給源ではありますが、これだけでは1日に必要な摂取量を満たすことはできません[1]。

さらに、牛乳や乳製品に含まれる飽和脂肪酸の過剰摂取は、生活習慣病のリスクを高める恐れがあります[1]。飽和脂肪酸の摂りすぎが気になる場合は、低脂肪タイプや無脂肪タイプを選ぶなどの工夫をしましょう[3]。

牛乳だけじゃない!カルシウムを含む食品群3つ

カルシウムは、牛乳以外にも、魚や野菜、大豆などの様々な食品に含まれています。代表的な食材を一食分の量でご紹介します[3]。

魚介類

【魚介類(1食分あたり)のカルシウム含有量(多い順)】

食品名重量(g)カルシウム(mg)
さば缶詰50130
煮干し367
しらす2038
※文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』より

骨ごと食べられるさば缶詰やいわし缶詰にはカルシウムが多く含まれています[3]。

野菜類

【野菜類(1食分あたり)のカルシウム含有量(多い順)】

食品名重量(g)カルシウム(mg)
かぶの葉(ゆで)5095
小松菜(ゆで)5075
水菜(生)3064
春菊(生)5060
※文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』より[3]

葉物野菜は加熱することでかさが減るため、多くの量を食べやすくなります[5]。

大豆製品

【大豆製品(1食分あたり)のカルシウム含有量(多い順)】

食品名重量(g)目安の量カルシウム(mg)
豆腐(木綿)1501/2丁140
油揚げ50厚め1枚115
高野豆腐(乾)171枚107
がんもどき25小さめ1個68
納豆401パック36
※文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』より[3]

葉物野菜は加熱することでかさが減るため、多くの量を食べやすくなります[5]。

カルシウムとセットで摂りたい!ビタミンD

子どものカルシウム不足を防ぐ3つの食品群と摂取のコツ

カルシウムを効率よく体内に吸収するためには、ビタミンDの摂取が欠かせません。ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収率が低下し、骨量が減少する可能性があります。

ビタミンDを体内に取り入れるには、以下の2つの方法があります[1]。

日光を浴びる

日光を浴びることにより、体内でビタミンDが合成されます[1]。

食品から摂る

サケ、イワシ、アジなどの魚類や、干ししいたけ、乾燥きくらげ、まいたけ、エリンギなどのきのこ類に含まれています[3]。

食事と生活で丈夫な骨作り

1日に必要なカルシウムを摂取するためには、牛乳だけに偏らず、多様な食品をバランスよく摂ることが大切です。また、ビタミンDを含む食品の摂取や、日光を浴びることも、併せて意識したいポイントです。

ただし、サプリメントやカルシウム剤での過剰摂取は、心血管疾患のリスクが上昇することが報告されているため、注意が必要です。まずは、毎日の食事と生活習慣を見直してみましょう[1]。 

著者プロフィール

管理栄養士/ヘルスケアライター 橋本牧子

管理栄養士 橋本牧子
結婚・出産を機に食事の大切さを改めて感じ、大学で学び直し管理栄養士の資格を取得。乳幼児やシニア世代の栄養相談や健康教室の講師など幅広く活動する中で、科学的根拠の乏しい健康情報が世の中に多いことに問題意識を持ち、確かな情報を広く発信すべくヘルスケアライターとして活動をはじめる。生活習慣病や女性の健康を得意とし、現在までに数多くのコラムを執筆している。料理撮影やレシピ開発の実績も豊富。詳しいプロフィールはこちら