認知症は予防できる?生活習慣の見直しから始める方法【管理栄養士解説】

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。
※健康・栄養に関するヘルスケアコラムの執筆・監修は、こちらよりご依頼いただけます。
「将来、認知症になるのではないか」「今の生活習慣で大丈夫だろうか」。このような不安を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。同じ年齢であっても、認知症を発症する人と、そうでない人がいるのはなぜなのでしょうか。
本記事では、認知症予防の視点から、発症リスクと関係する食事、運動、日常の過ごし方など、科学的根拠に基づきながら、日々の生活に取り入れやすい形でわかりやすく解説します。
認知症の原因は何?
「認知症」とは、日常生活動作や社会活動に支障をきたす程に、以前に獲得された認知機能が低下した状態を特徴とする症候群のことをいいます。
認知症の原因として、年齢や遺伝といった変えられない要因のほか、不健康な食事、運動不足などの生活習慣など予防可能な要因があることが明らかになっています。さらに、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病が、認知症の発症リスクと関連することも報告されています[1]。
認知症は予防できる?見直したい生活習慣のポイント

WHOのガイドラインでは、生活習慣全体の改善が、認知機能低下や認知症リスクを軽減する可能性があると示されています。認知機能の維持を考える上では、特別な対策だけでなく、日々の暮らし方そのものに目を向けることが大切です[1]。
ここでは、認知症予防の視点から、今日から意識できる生活習慣のポイントについて紹介します。
食事:バランスのよい食生活を無理なく継続
海外で行われた研究で、認知症のリスクが低い人は「地中海食」や「DASH食」といった食事パターンに当てはまる食習慣を送っていることが明らかにされています。この2つの食事パターンは、野菜・果物・魚・豆類を多く取り入れ、飽和脂肪酸や食塩(ナトリウム)を控える点に共通点があります。しかし、これらは欧米の食文化を背景としており、日本でそのまま「地中海食」や「DASH食」を取り入れることは現実的ではありません。そこで、日本の食文化を基盤に、主食(ごはんなど)、主菜(魚、肉、大豆製品など)、副菜(野菜、海藻など)をそろえたバランスのよい食事を意識すると良いでしょう[1]。
運動:日常生活の中で少しでも体を動かす
運動(身体活動)が認知機能に関与していることをご存じでしょうか。WHOのガイドラインにおいても、身体活動量が少ない人は認知機能低下や認知症のリスクが高く、反対に、身体活動を行うことがリスク低減につながる可能性があることが示されています。
身体活動には、一般的に運動としてイメージされる有酸素運動や筋力トレーニングだけでなく、日常生活の中で体を動かす行動全般が含まれます。
実施すべき身体活動について、以下のことが推奨されています。
・中等度の有酸素性運動(速歩・軽いサイクリングなど):週150分~300分
・高強度の有酸素運動(ジョギング・水泳など):週75分~150分
・両方を組み合わせた同等の身体活動→1回10分以上を目安に実施
・中強度以上の筋力トレーニング(腕立て伏せ、スクワット・マシンを使った運動など):週2日以上
転倒予防を目的として、バランス能力を高める運動も週3日以上行うことが推奨されています。今は運動習慣がなくても、無理のない範囲から少しずつ身体活動を増やしていくことを重要であるとしています[1]。
睡眠:生活リズムを整え、脳を休める良質な睡眠を
『健康づくりのための睡眠ガイド2023』では、睡眠の質の低下が認知機能低下や認知症リスクを高めることが指摘されています。
良質な睡眠を確保するためには、起床後に朝日を浴びる、就寝前2時間は強い光やスマートフォンの使用を控える、就寝前に入浴して体を温めるといった工夫が役立ちます[2]。
口の健康:食べる・話すを支える適切な口腔ケアを継続
口腔機能の維持は、食事や人との交流を支える重要な生活機能の一つです。口の健康が損なわれることで、食事量や社会活動が減少し、加齢に伴う身体機能の低下を通じて、認知機能低下と関連する可能性も考えられています。
口腔機能を維持するためには、自分の口に合った歯ブラシや歯間ブラシなどを使った丁寧な清掃、口の体操で顔や口をよく動かす、食事をしっかり噛んで食べる、定期的な歯科検診など、日常的な口腔ケアを続けることが大切です[3]。
認知症予防は継続がカギ!日々の生活を見直しを

食事・運動・生活習慣・社会参加など、さまざまな生活習慣に意識を向けることが認知症予防につながります。大切なのは、特別なことを一度に始めるのではなく、少しの工夫の積み重ねです。無理なく長く続けられることを見つけて、日々の生活に取り入れることが未来の認知機能を守る一歩になります[1]。
【参考文献】(すべて2026年3月20日閲覧)
[1] WHO ガイドライン『認知機能低下および認知症のリスク低減』邦訳検討委員会, 認知機能低下および認知症のリスク低減 WHOガイドライン
[2] 厚生労働省, 健康づくりのための睡眠ガイド2023
[3] 公益社団法人 日本歯科医師会, 通いの場で活かすオーラルフレイル対応マニュアル〜高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に向けて〜2020年版
著者プロフィール

管理栄養士
志田 有里紗
管理栄養士国家資格を取得後、委託給食会社勤務を経て、現在は病院の介護医療院の栄養管理やミールラウンドを担当。外来では糖尿病・脂質異常症・高血圧などの生活習慣病の栄養指導に携わっています。
現場での実践経験をもとに、生活習慣病や高齢者の栄養をテーマとしたヘルスケアコラムの執筆にも取り組み、本人やその家族に役立つ情報発信を心がけています。
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