
栄養・食と健康に関する情報がネットやSNSにあふれ、一体何を信じていいのか分からない時代となりました。そのような中で、管理栄養士には多数の情報を目利きし、科学的根拠に基づき分かりやすく情報提供をすることが求められるようになりつつあります。
そこで、注目したいのが「EBN(Evidence-Based Nutrition)」の考え方です。管理栄養士は、科学的根拠に基づく栄養学を実践する力を養うことで、信頼性される専門家として、質の高い栄養業務が可能になります。
管理栄養士必修と言われる「EBN」とは?
EBNとは「Evidence-Based Nutrition」の略で、「科学的根拠に基づく栄養(学・情報)」と直訳されます。医療の分野で浸透しているEBM(Evidence Based Medicine)の考えを栄養の分野に応用したもので、「科学的根拠」「専門職の知見」「対象者の状況や価値観」という3つのバランスを重視するのが特徴です。
たとえば、「この食品が身体に良い」といった情報を見たときに、「どんな研究結果に基づいているのか?」「根拠となっている研究は信頼できるものか?」という視点で考える力が、EBNを実践する土台となります。
EBNを実践できると得られるメリットとは
EBNを実践できる管理栄養士は、他職種からの信頼も得やすく、説得力のある発言ができる存在になります。経験や勘だけに頼った指導では伝わらなかった内容も、「科学的根拠に基づいている」ことを明確に伝えられれば、伝える相手の納得感が高まり、行動変容につながりやすくなります。
「なんとなく」ではなく、「なぜそうする必要があるのか」を相手に明確に説明できること。これがEBNを実践できる管理栄養士になるメリットと言えるでしょう。

EBNを学ぶには?
EBNの考え方を学ぶ第一歩は、信頼できる情報源に触れることです。たとえば厚生労働省が策定している「日本人の食事摂取基準」の最新版や、各学会で出している「ガイドライン」などを熟読し、正しく理解しておくことは専門家として欠かせません。可能であれば、ガイドラインの土台となっている英語の論文を読める力を養い、一次情報を得られるようになると、入ってくる情報の質も量もかなり幅が広がるでしょう。まずは、日本語で研究デザインや専門用語を学ぶことで、英語の論文を読むハードルも下がります。
EBNで広がるキャリアの可能性
EBNを学ぶことが、キャリアの選択肢を広げることにも繋がります。研究支援業務を行うリサーチダイエティシャンや、信頼性の高い健康コラムを書くヘルスケアライターなど、EBNを活かせる仕事は多岐にわたります。
ただ管理栄養士の資格を持っているだけでなく、「科学的根拠ある栄養健康情報を適切に扱える」という強みは、これからの時代でさらに管理栄養士に求められることになるでしょう。
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すべての情報に対して「この根拠は?」と問いかけるクセをつけるだけでも、EBNの実践は始まります。まずは1つ、信頼できる文献を探して読むことからスタートしてみましょう。
EBNを学ぶことは、管理栄養士としての土台をつくり、自信を取り戻す第一歩になりますよ!