痩せる?痩せない?16時間ダイエット(断食)の効果を検証【管理栄養士解説】

ヨーグルト

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。

近年SNSなどで話題の「16時間ダイエット(断食)」。ダイエットに興味がある方は一度は耳にしたことがあるかもしれません。多くの人にとってカロリー制限が難しいと感じている中、食べる時間を制限するだけで痩せると注目されています。
本コラムでは、科学的根拠をもとに、16時間ダイエットの効果や食事のポイントについて管理栄養士の視点で解説します[1]。

目次

16時間ダイエット(断食)とは?

「16時間ダイエット(断食)」とは、1日24時間のうち、8時間だけ食事を摂り、16時間は断食するという時間制限食の1つで、「16時間断食」「8時間ダイエット」とも呼ばれています。例えば、12:00〜20:00の間に食事を済ませ、その他の時間帯はエネルギー(カロリー)のあるものを摂らないという方法です[1]。

16時間ダイエットは効果ある?研究結果をわかりやすく解説

体重計に乗る女性

今回は、16時間ダイエットの効果について検証した複数の研究をまとめた分析結果(メタアナリシス)を紹介します。
この研究では、6週間〜12か月の期間にわたり、食事を摂る時間を1日8時間に制限した(16時間ダイエット実施)グループと制限しないグループを比較しました。結果として、16時間ダイエットを実施した人はそうでない人に比べて平均1.48kgの体重が減っていました。その中でもお昼の12時より前に食事を始めることとエネルギー制限を組み合わせた場合、明確な体重減少が認められました。
つまり、この研究結果から16時間ダイエットには緩やかな減量効果が認められた一方で、その効果の大きさは実践の仕方によって変わりうることが示唆されます[1]。

誰に効果が期待できるの?

今回ご紹介した16時間ダイエットの研究結果は肥満(BMIが25以上)の成人が対象となっており、全ての人に効果が期待できるとは限りません[1]。
まずは、自分の体格指数である「BMI(Body Mass Index)」を確認し、そもそもダイエットをして痩せる必要があるかどうか見極めることが大切です[2]。

BMIは、「体重(kg)÷身長(m)²」で求められます。18.5以上25未満が「普通体重」、BMIが25以上で「肥満」、18.5未満で「低体重(やせ)」とされています[2]。

(例)身長160㎝、体重55kgの場合:55÷(1.6×1.6)=21.5

「痩せない」と感じる理由と続けるための食事ポイント

バランスのよい食事

今回紹介した研究では、16時間ダイエットを実践すると体重が減少する傾向があることが報告されています。一方で、8時間の食事時間内での食べ方や生活習慣全般が効果に影響を及ぼす可能性があることが考えられます[1,2]。

1. 8時間内の「ドカ食い」は避ける

体重を減らすための基本は「摂取エネルギーが消費エネルギーを下回ること」にあります。そのため、空腹時間が長い反動で一度の食事量が増えてしまうと、総摂取エネルギーが多くなり、体重が減りにくくなる可能性があります[2,3]。

2. 「8時間なら何をどれだけ食べてもいい」わけではない

8時間以内なら何を食べてもいいと解釈し、ラーメンや揚げ物、菓子パン、ケーキなど好きなものばかり偏って食べることはおすすめしません。これらはエネルギー源である脂質や炭水化物に偏っていることが多く、食べ過ぎるとエネルギー過多となります。また、体重が減らないだけでなく、脂質や糖質に偏った食事は生活習慣病のリスクも高めるため、注意が必要です[3,4]。

3. 主食・主菜・副菜をそろえて必要な栄養素をしっかりとる

8時間という限られた時間内でも食事内容を整えることが大切です。主食(ご飯、パン、麺類など)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)、副菜(野菜、きのこ、海藻など)を組み合わせることで、炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラルといった健康維持に必要な栄養素を無理なくとることができ、健康的な体づくりに役立ちます[3,4]。

安全に続けるためのポイント

16時間ダイエットは比較的新しい食事法のため、まだ安全性を検証した研究数が多くありません。また、多くの研究が短期間で行われており、長期的な効果については十分に分かっていないのが現状です[1]。そのため、空腹感が強すぎる、体調がすぐれないなど、無理を感じる場合は一度中断することが大切です。さらに、持病がある方や薬を服用している方は、実践前に医師へ相談してください。

16時間ダイエットは「手段のひとつ」。日々の生活習慣を整えよう

笑顔で食事をする女性

16時間ダイエットは体重管理の選択肢の一つですが、現段階では誰にでも万能な方法とはいえず、長期的な効果や安全性などわかっていないことも多く残されています[1]。
健康的なダイエットは、短期間で結果を出すことよりも、心身に負担をかけず長く続けられることが鍵になります。食事内容や睡眠、運動など、日々の生活習慣を総合的に整えることが、健康的な体づくりにつながります[2]。

著者プロフィール

管理栄養士Yuka

管理栄養士・Yuka

一人ひとりの“心と身体が調和する暮らし”をサポートしたいという想いで、フリーランス管理栄養士として活動。複数の医療機関での経験を活かし、忙しい日々の中でも“自分を整える時間”を持てるよう、ライフスタイルに寄り添った提案を得意とする。また、科学的根拠に基づいたヘルスケアコラムを執筆し、健康づくりの知識や情報をわかりやすく発信することにも力を入れている。
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