将来は子供を産みたいという思いを持っている女性は多いのではないでしょうか?
健康な妊婦生活を送り、元気な子供を産みたいと誰もが願いますよね。しかし、妊娠時には思いがけないトラブルが待っていることも。この記事では、妊娠前からできる妊娠糖尿病を防ぐためのポイントをご紹介します。
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健康だからと油断しないで!妊娠糖尿病とは
日本糖尿病学会では、妊娠糖尿病とは、「妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病には至っていない糖代謝異常」定義されています。妊娠糖尿病になると、血糖値が高くなるだけでなく、妊娠高血圧症候群などの合併症を発症したり、早産や帝王切開、巨大児になるリスクが高まります。妊娠中は軽度な糖代謝異常でも母子共に大きな影響があり、厳重な管理が必要になります[1]。また、妊娠糖尿病になったことがある人は、妊娠時に血糖値が正常な人に比べて、将来的に2型糖尿病になるリスクが10倍高まることが示唆されており、出産後も油断は禁物です[2]。
こんな人が妊娠糖尿病になりやすい!
肥満、高齢、アジア系人種、家族に糖尿病の人がいる、以前に妊娠糖尿病だったことがある、これらの条件に当てはまる人は妊娠糖尿病になりやすいと言われています[1]。近年は、35歳以上での妊娠、出産も多くなってきていますが、妊娠糖尿病のリスクは年齢が上がるごとに増加することもわかってきています [3]。これらの要因がある人が、必ずしも妊娠糖尿病になると言うことではありませんが、リスクに備えておくことも重要です。
妊娠糖尿病を防ぐために今からできること3つ!
将来的に妊娠、出産を考えている方は、今のうちから日々の生活に意識を向けることが大切です。妊娠糖尿病を防ぐために、気をつけたいポイント3つを紹介します。
1.望ましい体重(BMI)を目指そう
肥満は妊娠糖尿病のリスクの1つです。妊娠糖尿病にならないためにも、妊娠前から望ましい体重(BMI)を目指すことが大切。また、若い女性のやせが低出生体重(2500g未満)のリスクを増加させているリスクの1つと言われており、低出生体重児は将来的に妊娠糖尿病になる可能性が高いことが報告されています[4,5]。日本糖尿病学会が策定する『糖尿病診療ガイドライン2024』では、妊娠前の望ましいとするBMIの範囲は、18.5〜24.9kg/m2とされています[1]。自身だけでなく将来の子供が妊娠糖尿病にならないためにも、望ましい体重を目指しましょう。
※BMIの計算式:体重(kg)÷(身長(m))2
2.運動習慣をつけよう!
妊娠前や妊娠初期の段階で運動習慣がある人は、運動習慣がない人に比べて妊娠糖尿病のリスクが下がる傾向にあることが、複数の研究によって報告されています。『糖尿病診療ガイドライン』では、週に150分以上のウォーキングやランニングが推奨されていますが、週に90分程度の運動でも、妊娠糖尿病のリスク低下の可能性が示唆されています[1,6]。妊娠がわかってから運動を始めるのも良いですが、急に運動を初めてもなかなか習慣化できず、続かないことも。今まで運動してこなかった人は、なるべく階段を使うことや、室内でのストレッチや簡単な筋トレからチャレンジして少しずつ体を動かす習慣をつけていきましょう。
3.腸内環境を整えよう
妊娠糖尿病の人と健康な人では腸内細菌叢に違いがあるという報告がされています。
腸内細菌叢は食物繊維をエサにして、腸内環境を整える働きをするため、食物繊維を多く摂っている人は少ない人に比べて、妊娠糖尿病のリスクが下がる可能性があることも示唆されています。[7]。主食を玄米や雑穀米に変えたり、野菜類やきのこ類、海藻類などを上手に食事の中に取り入れ、食物繊維を効率的に摂ることを意識しましょう。
自分の理想のライフプランを叶えるために
出産したい年齢が決まっている人もいれば、いつかは、と言う思いを抱えている人も少なくないと思います。今からコツコツと生活の中のできることを積み上げていき、自分の理想のライフプランを叶えましょう。
【参考文献】(すべて2024年8月31日閲覧)
[1] 日本糖尿病学会, 糖尿病診療ガイドライン2024
[2] Vounzoulaki E, et al. Progression to type 2 diabetes in women with a known history of gestational diabetes: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2020 May 13
[3] Li Y, et al. Maternal age and the risk of gestational diabetes mellitus: A systematic review and meta-analysis of over 120 million participants, Diabetes Res Clin Pract. 2020
[4] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題
[5] Tsujimoto Y, et al. Gestational diabetes mellitus in women born small or preterm: Systematic review and meta-analysis, Endocrine. 2022 Jan
[6] Mijatovic-Vukas J, et al. Associations of Diet and Physical Activity with Risk for Gestational Diabetes Mellitus: A Systematic Review and Meta-Analysis, Nutrients. 2018 May 30
[7] Yan M et al. Mechanismbased role of the intestinal microbiota in gestational diabetes mellitus: A systematic review and meta-analysis. Front Immunol. 2023 Mar 3;13
著者プロフィール
管理栄養士 金澤りな
大学卒業後、保育園施設で栄養士業務の経験を経て、管理栄養士の資格を取得。現在は栄養士養成課程の助手をしながら、糖尿病専門クリニックに勤務。科学的根拠を基に正しい情報を届けたいという想いのもと、コラム執筆や食育講師、健康講演等などフリーランス管理栄養士としても活動中。
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