【管理栄養士監修】夏に食べたい最強おつまみ!枝豆の知られざる実力・含まれる栄養とは?

枝豆の栄養素について

最終更新日: 2025年6月27日

「ビールといえば、枝豆!」というほど、おつまみの定番となっている枝豆。普段の食事やお弁当に入れている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、夏に旬を迎える枝豆に豊富に含まれる栄養素と、それらを効率よく摂る方法について解説します。

目次

枝豆は大豆の子ども?

実は、枝豆と大豆は同じ植物で、大豆が成熟する前に収穫したものを枝豆と呼びます。江戸時代には、夏に枝豆売りの姿があり、古くから親しまれてきました。大豆の未成熟な実を枝つきのままゆでて食べたことから「枝豆」という名前がついたと言われています[1]。

枝豆と大豆の栄養価の違いとは?

枝豆(ゆで)と大豆(ゆで)で栄養価を比較すると、枝豆の方が優れている栄養素があります。特に、エネルギー、脂質が控えめでありながら、銅、ビタミンK、ビタミンB1、葉酸が多く含まれています[2,3,4]。

【枝豆(ゆで)と大豆(ゆで)100gあたりの栄養価比較】

    枝豆大豆(国産)
エネルギー(kcal)118163
たんぱく質(g)11.514.8
脂質(g)6.19.8
炭水化物(g)8.98.4
カリウム(mg)490530
カルシウム(mg)7679
マグネシウム(mg)72100
リン(mg)170190
(mg)2.52.2
亜鉛(mg)1.31.9
(mg)0.360.23
マンガン(mg)0.741.01
モリブデン(μg)77
ビタミンA(μg)240
ビタミンE(mg)0.61.6
ビタミンK(μg)337
ビタミンB1(mg)0.240.17
ビタミンB2(mg)0.130.08
ナイアシン(mg)3.54
ビタミンB6(mg)0.080.1
葉酸(μg)26041
パントテン酸(mg)0.450.26
ビオチン(μg)9.8
ビタミンC(mg)15
食物繊維(g)4.66.6
【出典】文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』

枝豆に豊富に含まれる栄養素とは?

枝豆にはどのような栄養素が豊富に含まれているのでしょうか。
今回は、消費者庁が定める「豊富に含む」と言える基準を満たす栄養素をご紹介します[2,4]。

「豊富に含む」と言える基準を満たす3つの栄養素

■鉄

鉄は欠乏すると、貧血、運動機能・認知機能の低下を招くミネラルとして知られています。以前は、肉、魚などの動物性食品からの摂取が推奨されていましたが、近年では、鉄の栄養状態によって吸収率が変わるため、野菜などの植物性食品からも積極的な摂取が推奨されています。

※サプリメントなどでの過剰摂取は、健康障害を生じる可能性があるため注意が必要です。必ず医師の指示に従いましょう[5]。

■葉酸

葉酸は、DNAやRNAの合成や赤血球を作る働きがあります。細胞の増殖に深い関係があり、妊娠中や特に妊娠初期に欠乏すると、胎児の神経管が発育不全となってしまいます。生まれてくる子どものためにもしっかり摂りたい栄養素のひとつです。そのほかにも、欠乏すると赤血球がうまく作れなくなり、貧血になる恐れも。

また、代謝にも関係しているため、欠乏すると、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患の原因になることが明らかにされつつあります[5]。

■銅

銅は、筋肉、骨、肝臓などに存在し、エネルギーの生成、鉄の代謝、活性酸素の除去に関わる大切なミネラルです。欠乏すると、貧血、白血球の減少、歩行障害、下肢の痛みなどの欠乏症を引き起こすことがあります。ただし、通常の日本人の食事では、銅が大きく不足することは起こりにくいとされています。

※サプリメントなどによる過剰摂取は、健康に悪影響を及ぼすおそれがあるため注意が必要です[5]。

枝豆には、女性の味方「大豆イソフラボン」も含まれる?

枝豆には、機能性成分の1つである「大豆イソフラボン」も含まれています。大豆イソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)に似た構造を持ち、更年期症状の緩和、骨粗鬆症の予防など、特に女性の健康をサポートする働きがあることが明らかにされています[6,7]。

茹でて食べたらもったいない!?

では、調理方法によってどのくらい栄養価に差がつくのでしょうか?
文部科学省の『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』に基づき、調理方法の違いによる栄養価を比較しました。

【枝豆100gあたりの調理方法の違いによる栄養価の比較】

    単位ゆで冷凍
エネルギー(kcal)125118143
たんぱく質(g)11.711.513
脂質(g)6.26.17.6
炭水化物(g)8.88.910.6
カリウム(mg)590490650
カルシウム(mg)587676
マグネシウム(mg)627276
リン(mg)170170190
(mg)2.72.52.5
亜鉛(mg)1.41.31.4
(mg)0.410.360.42
マンガン(mg)0.710.741.12
ビタミンA(μg)222415
ビタミンE(mg)0.80.61.2
ビタミンK(μg)303328
ビタミンB1(mg)0.310.240.28
ビタミンB2(mg)0.150.130.13
ナイアシン(mg)4.23.54.5
ビタミンB6(mg)0.150.080.14
葉酸(μg)320260310
パントテン酸(mg)0.530.450.51
ビタミンC(mg)271527
食物繊維(g)54.67.3
【出典】文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』
※冷凍枝豆の数値は、大手メーカーの製品から算出した成分値を参照しています[10]。
 

枝豆はゆでることで、水溶性の栄養素であるカリウム、ナイアシン、葉酸、ビタミンCなどの栄養素が減ってしまいます。(※表中に該当箇所をブルーのマーカーで示しています)

ゆえに、焼き、蒸し焼きなど、栄養素を逃しにくい調理法がおすすめです。また、栄養素の損失が少ない冷凍枝豆を活用するのもよいでしょう[2,8,9]。

冷凍でもOK!枝豆で手軽に栄養補給

多くの世代から愛される枝豆は、体に嬉しいさまざまな栄養素を含んでいます[8]。おいしく味わいながら、日々の健康づくりに役立ててみてください。

【参考文献】(すべて2025年6月19日閲覧)
[1] 独立行政法人 alic 農畜産業振興機構, 野菜ブック(えだまめ)
[2] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 野菜類/えだまめ/ゆで
[3] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 豆類/だいず/ゆで
[4] 消費者庁, 食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン
[5] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2025年版)
[6] 厚生労働省, 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
[7] 公益社団法人, 日本産婦人科学会, 更年期障害
[8] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 野菜類/えだまめ/生
[9] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 野菜類/えだまめ/冷凍
[10] 厚生労働省, 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の取扱いについて

著者プロフィール

管理栄養士 中川麻奈美

管理栄養士 中川麻奈美

給食受託会社での勤務を経て、より人々の健康作りに貢献したいとの思いから、特定保健指導やヘルスケアコラムの執筆活動に注力している。主に生活習慣病予防を中心に、健康的な食生活を支えられる科学的根拠に基づいた情報を発信することを大切にしている。
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