「ビールといえば、枝豆!」というほど、おつまみの定番となっている枝豆。普段の食事やお弁当に入れたりと、身近な食材のひとつである方も多いのではないでしょうか。
この記事では、夏に旬をむかえる枝豆に豊富に含まれる栄養素と、その栄養素を効率よく摂る方法を解説します。
Contents
枝豆は大豆の子ども?
大豆が成熟する前に収穫したものを枝豆と呼びます。江戸時代には、夏に枝豆売りの姿があり、古くから親しまれていたようです。
大豆の未成熟な実を枝つきのまま茹でて食べたことから「枝豆」という名前がついたと言われています[1]。
枝豆に豊富に含まれる栄養素とは?
枝豆にはどんな栄養素が含まれているのでしょうか。今回は、消費者庁で決められている「豊富に含む」という基準をクリアしている栄養素を紹介します[4]。
ナイアシン
ナイアシンは水溶性のビタミンで、酵素の働きをサポートする補酵素として働いています。エネルギーの産生や、糖質、脂質、たんぱく質の代謝、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、DNAの修復や合成などに関わっている栄養素です。
欠乏すると、皮膚炎、下痢、精神神経症状などが起こる可能性があります[5]。
葉酸
葉酸は、DNAやRNAの合成や赤血球を作る働きがあります。細胞の増殖に深い関係があり、妊娠中や特に妊娠初期に欠乏すると、胎児の神経管が発育不全となってしまいます。生まれてくる子どものためにもしっかり摂りたい栄養素のひとつです。そのほかにも、欠乏すると赤血球がうまく作れなくなり、貧血になる恐れも。
また、代謝にも関係しているため、欠乏すると、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患の原因になることが明らかにされつつあります[5]。
女性の味方、大豆イソフラボン
枝豆には上記の栄養素以外にも、機能性成分の1つで、女性にとって嬉しい作用のある「大豆イソフラボン」が含まれています。大豆イソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)と分子構造が似ているため、エストロゲンに似た作用をすることが知られています。更年期症状の緩和、骨粗鬆症の予防など、特に女性の健康をサポートする働きがあることが明らかにされています[6,7]。
茹でて食べたらもったいない!?
枝豆は茹でて食べることが多いですが、茹でると水溶性のビタミンであるナイアシンや葉酸などの栄養素が減ってしまいます。栄養素をできるだけ逃さないためには、焼いたり、蒸し焼きにしたりするのもおすすめです[2,3]。
旬の枝豆を味わい、健康な体を手にいれよう
多くの世代で好まれる枝豆は、上記で紹介した栄養素以外にも、たんぱく質や食物繊維をはじめ、体に嬉しいさまざまなビタミンやミネラルを含んでいます[2]。
生の枝豆に限らず、冷凍枝豆も上手に活用して、日頃の食事に取り入れてみませんか。おいしく味わい、食事を楽しみながら、栄養素がしっかり含まれている食材を食べることで、健康な体をつくっていきましょう。
【参考文献】(すべて2024年5月6日閲覧)
[1]独立行政法人 alic 農畜産業振興機構, 野菜ブック(えだまめ)
[2]文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 野菜類/えだまめ/生
[3]文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 野菜類/えだまめ/ゆで
[4]消費者庁, 栄養成分表示及び栄養強調表示とは
[5]厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2025年版)
[6]厚生労働省, 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
[7]公益社団法人, 日本産婦人科学会, 更年期障害
著者プロフィール
管理栄養士 中川麻奈美
病院、福祉施設に勤務した後、学校給食業務に携わる。より人々の健康作りに貢献したいとの思いから、特定保健指導やヘルスケアコラムの執筆活動にも注力している。主に生活習慣病の予防を中心に、健康的な食生活を支えられる科学的根拠のある情報を発信することを大切にしている。
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