【管理栄養士が解説】五月病に負けない食事法とは?新社会人のためのセルフケア術

【管理栄養士が解説】五月病に負けない食事法とは?

新生活が始まり、期待と不安が入り混じる4月。ところが、5月になると急にやる気が出なくなったり、気分が落ち込んだり、息苦しさを感じることはありませんか? 
それは、いわゆる五月病かもしれません。特に、新社会人が陥りやすく、放っておくと症状が深刻化することもあります。

本記事では、五月病の進行を防ぐためのセルフケア術として、食事法を中心に解説します。

まずは不調に気がつくことから!セルフチェックで早期発見

新生活が始まり、忙しい日々の中で、自身の不調に気づかず過ごしてしまうこともあるでしょう。しかし、心身の不調は早期発見が重要です。症状を見逃さないために、まずは次のような症状がないか、セルフチェックをしてみましょう[1]。

  • 気分が沈む、憂うつ
  • 何をするのにも元気がない
  • イライラする、怒りっぽい
  • 理由もないのに、不安な気持ちになる
  • 気持ちが落ち着かない
  • 胸がドキドキする、息苦しい
  • 何度も確かめないと気がすまない
  • 誰かが自分の悪口を言っている
  • 何も食べたくない、食事がおいしくない
  • なかなか寝つけない、熟睡できない
  • 夜中に何度も目が覚める

気になる症状がある場合には、放置せずにケアすることが重要です。

ストレスと上手に付き合うための食事法!心身の健康を支える2つのコツ

【管理栄養士が解説】五月病に負けない食事法とは?

心身の不調が生じる原因のひとつに、ストレスがあります。ストレスは誰にでもありますが、ためすぎると調子をくずしてしまいます。心身の不調を食い止めるには、ストレスと上手に付き合うことが大切です。

そのためには、まず生活習慣を整えることから始めましょう。バランスの取れた食事や良質な睡眠、適度な運動の習慣を維持することが、心身の健康の基礎固めになります[2]。

ストレスと上手に付き合うための食事法である、バランスの取れた食事を叶える2つのコツを詳しくご紹介します。

1.自分に合った食事量を把握する

バランスの取れた食事を叶えるには、まず自分に合った食事量に調整することが大切です。

食事量が多すぎると、栄養の偏りや過剰摂取につながり、逆に少なすぎると、必要な栄養が不足し体調を崩す原因となるからです。

適量を摂取できているかどうかを確認するためには、体格指数Body Mass Index(BMI)(※)を確認した上で、体重の増減をみてみるとよいでしょう[3]。

(※)BMI=[体重(kg)] ÷ [身長(m2)]

BMI18.5未満が低体重、BMI18.5以上25未満が普通体重、BMI25以上が肥満です[4]。

例えば、現在肥満で、体重の増減がない、あるいは体重が増えている場合には、食事量が多いといえるでしょう。また、現在低体重で、体重の増減がない、あるいは体重が減っている場合には、食事量が少ないといえるでしょう。

現在の体格と体重の変化を確認し、食事量が自分にあっていない場合には、適切な食事量に調整することが大切です。

2.主食・主菜・副菜を意識する

心身の健康を維持するには、特定の栄養成分だけに偏らず、必要な栄養素をバランスよく摂ることが重要です。

そのために、日々の食事の中で、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」を取りいれることを意識するとよいでしょう。

「主食」とは、ごはん・パン・麺など、「副菜」は野菜・いも・海藻・きのこを主材料とする料理、「主菜」は魚・肉・卵・大豆・大豆製品を主材料とする料理のことをいいます[5]。

何品も用意することが難しい際には、「主食」「副菜」「主菜」をまとめて摂れる丼やワンプレート料理を活用するとよいでしょう。

食事だけじゃない!心身の健康を守るセルフケア術

【管理栄養士が解説】五月病に負けない食事法とは?

心身の健康を守るために、食事だけでなく良質な睡眠、適度な運動の習慣を維持することも大切です。

さらに、自分の考え方や物事の見方を見直してみましょう。具体的には、よくないことばかりでなく、実際にできていること、うまくいっていることにも注意を向けるように心がけます。

また、ひとりで抱え込まずに、誰かに相談することも重要です。話すことで解決策が見つかり、気持ちが軽くなることがあります。さらに、相談に乗ってもらえたという安心感が、気持ちを落ち着かせてくれるでしょう[2]。

セルフケアで五月病に負けない健康な心身を

新生活が始まり、環境の変化による疲れやストレスを感じやすい時期です。バランスの取れた食事を心がけることはもちろん、その他のセルフケア術も実践し、健やかな心身を育みましょう。

【参考文献】(すべて2025年2月20日閲覧)
[1] 国立精神・神経医療研究センター, こころの情報サイト, こころの病気について理解を深めよう
[2] 国立精神・神経医療研究センター, こころの情報サイト, ストレスとセルフケア
[3] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2025年版)
[4] 一般社団法人日本肥満学会, 肥満症診療ガイドライン2022
[5] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 食事バランスガイド(基本編)

著者プロフィール

心理学修士/管理栄養士 なかで かおる

管理栄養士・学術修士 なかで かおる
食を通して、一人でも多くの人の心身の調子を整えることを目指し、フリーランスの管理栄養士として活動中。学術修士では、食行動と動機づけに関する研究にて学位を取得。栄養学と心理学を軸に、科学的根拠に基づく栄養学と、コーチングの考え方を大切に、特定保健指導、ジムでの栄養指導、コラム執筆などを行う。
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