【管理栄養士監修】妊娠中の体重管理完全ガイド|無理のない食事と運動のポイント

妊婦

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。

妊娠中の体重管理について不安を感じていませんか?

つわりや食欲の変化で、思うようにコントロールできないことも多いですよね。体重管理で大切なのは、完璧に頑張ることではなく、無理なく続けられることです。

この記事では管理栄養士が、赤ちゃんとママの心と体が満たされる、無理のない体重管理のヒントをお伝えします。

目次

妊娠中に体重管理が必要な理由って?

妊娠中の体重管理は、母子の健康に直結します。「やせ型」は早産や低出生体重児分娩のリスクを高めることが分かっています。対して、「肥満」は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児分娩などのリスクが高まります[1]。
どちらに偏っても母子の健康に影響するため、適切な体重管理が欠かせません。

妊娠中の体重ってどれくらい増えてもいいの?

妊娠中の望ましい体重増加量は、妊娠前の体格によって変わります[1]。
妊娠前の体格はBMI(体格指数)の値を用いて判断します。BMIは次の式で計算できます[2]。

BMI = 妊娠前の体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

日本産科婦人科学会が提示する『妊娠中の体重増加指導の目安』によると、妊娠中の適切な体重増加量は以下の通りです。これは、妊娠中に注意すべき合併症のリスクを最も低くすることを目的に定められたものです。ただし、個人差もありますので、あくまでも目安としてご覧ください[1]。

【妊娠中の体重増加量の目安】
BMI18.5未満(やせ型): 12~15kg
BMI18.5~25.0未満(普通): 10~13kg
BMI25.0以上30.0未満(肥満1度): 7~10kg
BMI30.0以上(肥満2度以上): 個別対応(上限5kgまでが目安)

【出典】日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会『産婦人科診療ガイドラインー産科編2023』[1]

妊娠中の食事は増やすべき?必要なエネルギー量の目安

妊娠中は、妊娠前に比べてより多くのエネルギーが必要になります。

妊娠初期(〜13週6日)と後期(28週0日〜)には、日常生活や運動による消費エネルギーが減少します。しかし一方で、妊娠による体重増加に伴い、何もしなくても消費される基礎代謝量が大きく増加します。そのため、妊娠初期から中期、後期へと進むにつれて総エネルギー消費量は高まり、それに応じてより多くのエネルギー摂取が必要となります。

『日本人の食事摂取基準(2025年版)』を参考に、1日あたりどのくらいのエネルギーを摂取したらよいか(推定エネルギー必要量)を以下にまとめました[2]。

【妊娠中に必要な推定エネルギー必要量】

妊娠中の推定エネルギー必要量(kcal/日)
=妊娠前の推定エネルギー必要量(kcal/日)+妊婦のエネルギー付加量(kcal/日)
・付加量(kcal/日)
初期:+50
中期:+250
後期:+450

・18~29歳(身体活動レベルふつう)の推定エネルギー必要量(kcal/日)
※妊娠前の推定エネルギー必要量:1,950kcal/日
初期:1,950+50=2,000
中期:1,950+250=2,200
後期:1,950+450=2,400

・30~49歳(身体活動レベルふつう)の推定エネルギー必要量(kcal/日)
※妊娠前の推定エネルギー必要量:2,050kcal/日
初期:2,050+50=2,100
中期:2,050+250=2,300
後期:2,050+450=2,500

【出典】厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』[2]

安心して続けられる!妊娠中の体重管理のポイント

健康的な食事

エネルギーをどれだけ摂取すべきかは人によって異なります。

エネルギーの過不足の判断は、推定エネルギー必要量ではなく、体重の変化を用いることが望ましいとされています。非妊娠時では、摂取したエネルギーが消費エネルギーを上回ると体重が増えます[2]。定期的に体重を測定し、望ましい体重増加量の範囲を超えそうな時は「食べ過ぎていないか」を意識することが大切です。

とはいえ、妊娠中に厳しい体重制限をする必要はありません。主食、主菜、副菜をバランスよく組み合わせた、健康的な食生活を送りましょう[1]。

無理のない範囲で体も動かそう

散歩をする妊婦

妊娠中は無理のない範囲で、軽い運動を取り入れることも大切です。運動不足は避けたいですが、運動のしすぎも悪影響になるおそれがあるので注意が必要です。

おすすめの運動は、体に負担の少ないウォーキングです。運動をはじめるときに体調に不安があれば、医師に相談しましょう[1]。

妊娠中は無理のない体重管理を

妊娠中は、母子の健康を守り、安心してお産を迎えるために、バランスのよい食生活を意識しながら体重管理を行うことが大切です。また、無理のない範囲で軽い運動もするといいですね。

体重増加量はあくまでも目安です。不安なことがあれば、必ず医師に相談しましょう[1]。心と体が満たされる、健やかなマタニティライフをお過ごしください。

著者プロフィール

『捨てないレシピ』著者 / 管理栄養士 / フードライター 小嶋絵美

管理栄養士
小嶋 絵美

保育園栄養士を務めた後、2018年に独立。「分かりやすく丁寧に」「すこやかな食生活へつながる情報を届けたい」との想いで、食と栄養の執筆をおこなう。身近な暮らしに寄り添う簡単レシピ・節約レシピを開発。訪問調理の講師として、産前産後や子育てのサポートにも携わっている。2025年4月初の著書「捨てないレシピ 皮も種も、無駄なく使ってもう1品 (サンクチュアリ出版) 」が発売。
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