大豆の栄養とは?健康によい理由と毎日の取り入れ方を管理栄養士が解説

大豆食品

「私にとって、大豆は人生の恩人です。」

そう話すのは、管理栄養士の藤橋ひとみさん。

豆腐や納豆、味噌、豆乳など、大豆は私たち日本人にとって身近な食材です。「健康によい」というイメージは広く知られていますが、その魅力は栄養だけにとどまりません。

書籍『おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ』の著者であり、一般社団法人日本豆腐マイスター協会認定座学講師として活動する藤橋さんは、東京大学大学院で発酵食品の研究で博士号(医学)を取得し、大豆に関する資格も15種類以上保有しています。

なぜ藤橋さんは、大豆を「人生の恩人」と呼ぶのでしょうか。
今回は、大豆との出会いから、健康や環境との関わり、毎日の食事への取り入れ方まで、お話を伺いました。

目次

「人生の恩人」と語る、大豆との出会い


藤橋さんが大豆について深く学ぶようになったきっかけは、20歳頃に経験したアトピー性皮膚炎でした。

大学進学を機に一人暮らしを始めた頃、アトピーで体調を崩したことから食生活を見直し、腸内環境を整えるライフスタイル、今でいう「腸活」を取り入れることに。それを機に、植物性食品を中心とした食事を取り入れるようになったそうです。その中で日々のたんぱく源として活用したのが、豆腐や豆乳、納豆などの大豆食品でした。
毎日の食事に大豆食品を取り入れるうちに、その魅力に惹かれ、さらに学びを深めるようになったといいます。栄養だけでなく、発酵や環境、世界の食料事情など、大豆を入り口に関心の幅は広がっていきました。こうした経験が、現在の講師活動や執筆などにつながっています。

※上記は藤橋さん個人の経験であり、大豆食品の摂取によってアトピー性皮膚炎の改善が保証されるものではありません。

大豆が「健康によい」といわれる理由

大豆と豆乳

「大豆は健康によい」とよく耳にしますが、その理由はどこにあるのでしょうか。管理栄養士の藤橋さんに、大豆の栄養について詳しく教えていただきました。

藤橋さんは、大豆の魅力としてまず挙げるのが、植物性たんぱく質を豊富に含んでいることだと話します。近年では、植物性たんぱく質を多く摂取している人ほど生活習慣病(心疾患、がん)のリスクが低く、長寿であると研究で報告されており、大豆は積極的に取り入れたい食品の一つだといいます[1]。

また、大豆にはたんぱく質だけでなく、私たちの健康を支えるさまざまな栄養素が含まれています。
例えば、カルシウムは乳製品から摂るイメージが強い栄養素ですが、大豆からも摂取できます。また、特に月経のある女性にとって意識して摂りたい栄養素の一つである鉄は肉類に多い印象がありますが、大豆にも含まれていることは意外と知られていません。

さらに、大豆を丸ごと食べられる食品やおからには、肥満・生活習慣病予防などのために積極的に摂りたい食物繊維が豊富に含まれているほか、妊娠前や妊娠初期の女性が積極的に摂りたい葉酸も含まれています。そのほか、マグネシウムやカリウム、ビタミンB群なども含まれており、さまざまな栄養素を摂取できることも、大豆の大きな魅力です[2,3]。

腸活を支える大豆の力


栄養素だけでなく、大豆は腸活の面でも注目されています。
藤橋さんによると、腸活という観点では、まず食物繊維が重要だといいます。食物繊維はプレバイオティクスと呼ばれ、腸内細菌のエサとなることで腸内環境を整える働きが期待されています[4]。
また、大豆には納豆や味噌など、日本の食卓で親しまれている発酵食品が多いことも魅力の一つです。発酵食品には、発酵に関わる微生物がつくり出す発酵代謝産物が含まれており、それらが腸に直接よい働きをすることが分かっています[5]。

このように、食物繊維と発酵食品、それぞれの特徴をあわせ持つ大豆発酵食品は、腸活という点でも魅力のある食品だと藤橋さんは話します。

ライフスタイルに合わせた大豆製品の取り入れ方

和定食

大豆製品は、毎日の食事の中で無理なく取り入れることができます。
藤橋さんは、「特別なことをしなくても、日本食を食べていると知らないうちに大豆を摂っていることが多い」と話します。
味噌汁には味噌や豆腐、油揚げ、ご飯には納豆など、和食にはもともと多くの大豆製品が使われています。そのため、普段の食事に豆腐や納豆を一品加えるだけでも、大豆を取り入れやすくなります。
一方、洋食中心の方でも、取り入れる方法はたくさんあるといいます。例えば、普段飲んでいる牛乳や甘い飲み物を豆乳に置き換えるなど、無理なく始められる工夫があります。
また、「最近は、大豆製品を取り入れようと思った時に、選択肢が広がっている」と話す藤橋さん。豆腐バーやソイプロテイン、大豆ミートなど、ライフスタイルに合わせて選べる商品も増えています。 大豆製品にはそれぞれ特徴があり、近年は選択肢も広がっています。毎日の食事やライフスタイルに合わせて、さまざまな大豆製品を無理なく取り入れてみてはいかがでしょうか。

環境の視点から見る、大豆の可能性

大豆畑

これまで、栄養や腸活など、大豆の健康面についてお話を伺ってきました。
一方で、藤橋さんは近年、環境という視点からも大豆に注目していると話します。

動物性食品の一部を植物性食品に置き換えることは、食事に伴う環境負荷を抑えることにつながります。特に牛肉などは、生産に伴う温室効果ガスの排出量が多いことが知られており、植物性食品を多く取り入れた食生活は、温室効果ガス排出量の削減につながると考えられています[6]。こうした植物性食品の一つとして、私たちにとって身近な存在が大豆です。

さらに、大豆は、私たちが食べる豆腐や納豆だけに使われているわけではありません。大豆から採れる大豆油は、食用油のほか、バイオ燃料の原料としても利用されており、近年、米国ではバイオマスディーゼル向けの利用が拡大しています [7]。 このように大豆は、食卓を支えるだけでなく、エネルギーの分野でも活用されているのです。

「食、栄養、健康から大豆の勉強をし始めて、学べば学ぶほど環境にまで広がっていき、世界情勢にも広がっていきました。このように様々なことに目を向け、考えさせられるきっかけを得られたのも、私が大豆に魅了された理由の1つだと思います。」

健康のその先にある、大豆の魅力


大豆は、植物性たんぱく質をはじめ、食物繊維やカルシウム、鉄などを含む栄養豊富な食品です。発酵食品として腸活を支えるだけでなく、豆腐や納豆、豆乳など、毎日の食事にも無理なく取り入れられます。
健康のために大豆を取り入れることは、栄養や腸活だけでなく、環境や食料問題など、食を取り巻くさまざまなことに目を向けるきっかけにもなるかもしれません。

普段何気なく食べている豆腐や納豆、味噌。その一品の先には、健康だけでなく、環境や世界の食料事情までつながる、大豆の奥深い魅力が広がっています。

【参考文献】(2026年7月19日参照)
[1] Barrantes-Espinola G, et al. Isocaloric substitution of animal protein with plant protein and its impact on all-cause, cardiovascular, and cancer mortality: A systematic review and meta-analysis. Clin Nutr. 2026 Jun;61:106654.
[2] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
[3] 消費者庁, 食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン 第5版(令和7年4月)
[4] Gibson GR, et al. Expert consensus document: The International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics (ISAPP) consensus statement on the definition and scope of prebiotics. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2017 Aug;14(8):491-502.
[5] Marco ML, et al. The International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics (ISAPP) consensus statement on fermented foods. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2021 Mar;18(3):196-208.
[6] IPCC. Climate Change 2022, Mitigation of Climate Change. Chapter 12, Cross-sectoral Perspectives. 2022.
[7] U.S. Department of Agriculture, Economic Research Service. Soybeans and Oil Crops: Oil Crops Sector at a Glance. Updated August 4, 2025.

取材協力

藤橋 ひとみ(管理栄養士 医学博士)
(株)フードアンドヘルスラボ代表。書籍『おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ』著者。一般社団法人日本豆腐マイスター協会認定座学講師。豆腐、豆乳、おから、納豆、味噌、ソイオイルなど、ほとんど全ての大豆の資格を所有。メディア出演や講演活動、コラム執筆など、様々な活動を通して大豆製品の魅力を伝えている。

取材・執筆

木宿 由佳(管理栄養士)

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