食事中にむせることが増えたら?知っておきたい原因と対処法

お茶でむせる高齢者

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。
※健康・栄養に関するヘルスケアコラムの執筆・監修は、こちらよりご依頼いただけます。

目次

食事中にむせる原因とは?

食事中にむせる原因は一つではありません。まずは、食べ物を飲み込む仕組みについて見てみましょう。
食べ物や飲み物を飲み込むときは、口や舌、のどが順番に動き、食道を通して胃へ送っています。この働きがうまくいかず、食べ物や飲み物が気道に入りそうになったとき、それを外へ押し出そうとする体の自然な反応が「むせ」です。
以前よりむせることが増えた場合は、飲み込む力の変化が関係している可能性があります[1,2]。

むせを放置するとどうなる?

むせの働きが十分でないと、食べ物や唾液が気道や肺に入りこむことがありこれを「誤嚥」と呼びます。
誤嚥をきっかけに生じる肺炎を「誤嚥性肺炎」と言い、誤嚥性肺炎は高齢者が注意したい病気の一つです。厚生労働省の令和7年(2025年)人口動態統計月報年数(概数)では、日本人の死因第6位となっています。
年齢を重ねるほど飲み込む力は低下しやすくなるため、食事中のむせや食べにくさなどの変化に早めに気づくことが大切です[1,3,4]。

飲み込む力をチェックしてみよう

厚生労働省の『口腔機能自己チェックシート』では、口や飲み込む力の変化に関する項目として、次のような内容が挙げられています。

  • 固いものが食べにくくなった
  • お茶や汁物でむせることがある
  • 薬が飲み込みにくくなった
  • 食事にかかる時間が長くなった
  • 食後に口の中に食べ物が残りやすい

1つだけであれば一時的なこともありますが、複数当てはまる場合や、症状が続いている場合は、飲み込む力が変化しているサインかもしれません[2]。

食事を工夫して、飲み込みやすくするには?

鯖の味噌煮

日本摂食嚥下リハビリテーション学会では、飲み込む力に応じた食事形態の目安として『嚥下調整食分類2021』が示されています。
飲み込みやすい食事にするためには、食材の硬さやまとまり、付着しやすさに配慮し、その人の状態に合わせて食べやすい形に調整することが大切です。
この分類は、病院や介護施設、在宅などで共通の基準として活用されており、食事形態を検討する際の参考になります。
飲み込みにくさを感じた場合は、自己判断で食事を変更するのではなく、歯科医師や医師、管理栄養士、言語聴覚士などの専門職に相談し、自分に合った食事形態を確認しましょう[5]。

今日からできる、飲み込む力を保つ工夫とは?

飲み込む力を保つためには、毎日の生活の中で口の健康や食事の環境を整えることも大切です。

  • 食事の前に口や舌を動かす体操を取り入れる。
  • 歯や入れ歯の状態を定期的に確認する。
  • 食事の姿勢を整えて、咀嚼・嚥下機能を十分に発揮できるようにする。[2,3]

毎日の生活の中で無理なく取り入れられる工夫から始めてみましょう。

これからもおいしく食べるために

笑顔で食事をする高齢者夫婦

食事中のむせは、体を守るための大切な反応です。
以前よりむせることが増えた場合や、食べにくさを感じる場合は、飲み込む力が変化しているかもしれません。
日頃から口の健康を意識し、小さな変化を見逃さないことが、これからも安全に、おいしく食事を楽しむことにつながります。気になる症状が続く場合は、一人で悩まずに歯科医師や医師などの専門職に相談しましょう[2,3]。

【参考文献】(すべて2026年7月8日閲覧)
[1] 日本耳鼻咽頭科頭頸部外科学会,嚥下障害診療ガイドライン2024年版
[2] 厚生労働省,介護予防マニュアル第4版,第4章口腔機能向上マニュアル
[3] 日本呼吸器学会,成人肺炎診療ガイドライン2024
[4] 厚生労働省,令和7年(2025年)人口動態統計月報年数(概数)の概況
[5] 日本摂食嚥下リハビリテーション学会,日摂食嚥下リハ会誌25(2):135-149,2021

著者プロフィール

管理栄養士 長沼りな

介護食専門管理栄養士ライター・介護福祉士
長沼りな

介護施設で多くの方の「食べる喜び」に触れてきた経験を活かし、介護食や高齢者栄養、摂食嚥下を中心に執筆しています。専門的な情報も毎日の食生活に役立てられるよう、わかりやすくお伝えしています。好きなものをおいしく食べられる期間を少しでも長くすること、そして「もっと早く知っていれば」という食べることへの後悔を減らすための情報発信を大切にしています。


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