高齢者が食事を食べないときどうする?今日からできる食事の工夫【管理栄養士解説】

食事に悩む高齢者

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。
※健康・栄養に関するヘルスケアコラムの執筆・監修は、こちらよりご依頼いただけます。

「最近、親の食べる量が減ってきた気がする」「以前より食事を残すことが増えたかも…」と気になっていませんか。高齢者が食事を食べなくなる背景には、さまざまな理由があります。そのまま様子を見ていると、体力や活動量の低下につながることもあります。この記事では、高齢者が食事を食べない主な原因や、今日から取り入れられる食事の工夫について、管理栄養士がわかりやすく解説します。

目次

高齢者が食事を食べなくなる原因とは?


高齢者が食事を食べない背景には、加齢による体の変化だけでなく、病気や薬の影響、生活環境の変化など、さまざまな原因があります。

加齢によって食欲が低下しやすくなる

年齢を重ねると若い頃より活動量が減り、それに伴って消費するエネルギーも減るため、おなかが空きにくくなります。また、味覚や嗅覚が変化し、以前と比べて食事をおいしく感じにくくなることもあります。さらに、噛む力や飲み込む力、唾液の分泌が低下すると、食べること自体が負担になる場合があります。胃腸の働きも変化するため、一度にたくさん食べられなくなることも少なくありません[1]。

病気や生活環境の変化も影響する

服用している薬の副作用や、病気による体調の変化によって食欲が落ちることがあります。また、一人暮らしや生活環境の変化などで食事の楽しみが減ることや、気分の落ち込み、外出機会の減少なども食事量に影響することがあります[1]。

まずは食べない理由を探ってみましょう

食べる量が減ったときは、「食べられない理由」がないか確認することが大切です。例えば、次のような様子はありませんか。

  • 「おなかが空かない」と話している
  • 「固いものが食べづらい」「飲み込みにくい」と感じている
  • 体調や薬の影響で食欲が落ちている
  • 一人で食事をすることが増え、食事を楽しみに感じにくくなっている

理由によって必要な対応は異なります。無理に食べさせようとするのではなく、まずは本人の様子や気持ちを確認してみましょう。

高齢者が食事を食べない状態が続くとどうなる?

疲れている高齢者

食事量が減ると、体に必要なエネルギーやたんぱく質などの栄養素が不足しやすくなります。
栄養不足が続くと筋肉や体力が低下し、疲れやすくなるほか、外出や家事などの日常生活に負担を感じることがあります。
活動量が減るとさらに食欲が低下し、食事量も減ってしまうという悪循環に陥ることも少なくありません。この状態が続くと、心身の機能が低下し、介護が必要な状態に近づく可能性があります。そのため、「少し食べる量が減っただけ」と見過ごさず、早めに対応することが大切です[1]。

高齢者が食事を食べないときに試したい食事の工夫

やわらかく食べやすい料理

食事の回数を増やす

一度にたくさん食べられない場合は、3食にこだわらず、間食を活用して4~5回に分ける方法を試してみましょう。間食を取り入れることで、食事だけでは不足しがちなエネルギーやたんぱく質を補いやすくなります[2]。また、食欲があるタイミングに食べることも大切です[3]。

少量でも栄養価の高い食事を心がける

食事量が少ない場合は、限られた量でも栄養をしっかり摂れる工夫が大切です。
肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などのたんぱく質を意識して取り入れましょう。
卵や豆腐、ヨーグルトや牛乳などは、間食にも取り入れやすい食品です。
食事では主食だけで済ませず、たんぱく質を含む食品を1品添えることも心がけましょう[2,3]。

食べやすく食欲を引き出す食事作りをする

食材は口の働きに合わせてやわらかく調理する、小さめに切るなどの工夫をすることで食べやすくなることがあります。また、好きな食べ物を取り入れることや、彩りや香りを意識した盛り付けも食欲アップにつながります[2,3]。

食事を楽しめる環境をつくる

家族や友人と一緒に会話を楽しみながら食事をすることで、意欲が高まることがあります。
食事の準備が難しい場合は、配食サービスや地域の食事会などを活用するのも一つの方法です。
「もっと食べて」と無理に勧めるよりも、食事の時間を楽しく過ごせる雰囲気づくりを心がけましょう[2,3]。

こんな変化は早めに相談しましょう

厚生労働省『介護予防マニュアル』の基本チェックリストでは、高齢者の生活機能の低下に気づくための目安として、次のような項目が挙げられています。

  • 6か月で2~3kgの体重減少があった
  • 半年前に比べて固いものが食べにくくなった
  • お茶や汁物などでむせることがある
  • 口の渇きが気になる
  • 外出する機会が少なくなっている(週1回未満など)

これらの変化が見られる場合は、一人で悩まず、かかりつけ医や地域包括支援センターなどへ相談してみましょう[4]。

小さな変化に気づくことが第一歩

家族と笑顔で食事をする高齢者

小さな変化に気づくことが、健康な毎日を支える第一歩です。食べない理由は人それぞれ異なります。まずは理由を探り、その方に合った方法を考えてみましょう。毎日の食事が少しでも楽しい時間になるよう、できることから始めてみてください。

【参考文献】(すべて2026年7月25日閲覧)
[1] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2025年版)
[2] 厚生労働省, 介護予防マニュアル 第4版, 第3章 栄養改善マニュアル
[3] 厚生労働省, 食事摂取基準を活用した高齢者のフレイル予防事業
[4] 厚生労働省, 介護予防マニュアル 第4版, 序章 介護予防マニュアルについて

著者プロフィール

管理栄養士 松川あき

管理栄養士 松川 あき

保育園や高齢者施設に15年以上勤務し、栄養ケアマネジメントや献立作成、給食管理、食育活動などを通して、乳児期・高齢期の異なるライフステージの食と健康に携わってきました。その経験を活かし、現在はヘルスケアコラムライターとしても活動しています。生涯を通じて「おいしく食べて、健康にいきいきとした生活が送れるようお手伝いすること」をモットーに、専門知識をわかりやすく発信することを心がけています。

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