葉酸はいつから摂るべき?妊娠前に知っておきたい必要量とタイミングを管理栄養士が解説

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。
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葉酸はいつから必要?摂り始めるベストタイミングとは
葉酸は妊娠中に摂るもの、というイメージがあるかもしれません。でも実は、妊娠前から意識しておきたい栄養素です。まずは葉酸がどんな栄養素なのか、というところから見ていきましょう。
そもそも葉酸って何?
葉酸は、ビタミンB群の一種で、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」です。細胞の分裂・増殖や、赤血球の形成に欠かせず、妊娠の有無にかかわらず、誰にとっても大切な栄養素です。葉酸が不足すると、赤血球がうまくつくられず、「巨赤芽球性貧血」と呼ばれる貧血を引き起こすことが知られています[1]。
妊娠前から必要って本当?
妊娠初期は、赤ちゃんの体がつくられ、細胞の分裂・増殖がもっとも活発になる時期です。この時期の葉酸は、赤ちゃんの発育を支えるうえで重要な役割を果たします。厚生労働省では、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までを目安に、サプリメントなども活用しながら積極的に葉酸を摂取することを推奨しています[2]。
葉酸が妊娠前から必要とされるのは、赤ちゃんの脳や脊髄のもとになる「神経管」の形成にかかわっているからです。神経管が正常に閉じないと、無脳症や二分脊椎などの先天性異常を伴う「神経管閉鎖障害」が起こるリスクがありますが、妊娠初期に十分な葉酸を摂取することで、その発症リスクを下げられることがわかっています。神経管は受胎後28日には形成が完了しますが、多くの場合、この時点ではまだ妊娠に気づいていません。そのため、「妊娠してから」ではなく「妊娠を希望した時点から」、葉酸を意識して摂り始めることが大切です[1]。
妊娠前の葉酸、1日にどれくらい必要?
葉酸には2種類ある
葉酸には、通常の食品に含まれる「天然葉酸」と、サプリメントや葉酸を強化した食品に含まれる「合成葉酸」の2種類があります。大きな違いは、体内で利用される割合(生体利用率)です。天然葉酸の生体利用率は、合成葉酸のおよそ50%程度と報告されています。つまり同じ量を摂っても、食品からの葉酸は体内で使われる量が半分ほどにとどまります[1]。
推奨量も、この2種類に分けて示されています。
葉酸の推奨量

成人女性の葉酸の推奨量は、通常の食事から天然葉酸として240μg/日です。
これに加えて、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性のある女性、妊娠初期の女性は、神経管閉鎖障害の発症予防のため、サプリメントなどから合成葉酸として400μg/日を摂取することがすすめられています[1]。
食事だけでは足りないの?サプリメントを活用したい理由
付加推奨量である合成葉酸400μg/日は、生体利用率を考慮すると天然葉酸およそ800μg/日に相当します。通常の食事から摂りたい240μg/日と合わせると、食事だけで推奨量を満たすには、天然葉酸として約1,040μg/日が必要になる計算です[3]。
はたして、食事だけでこれだけの葉酸を摂ることはできるのでしょうか。まずは、葉酸を多く含む食品の1食あたりの葉酸量を見てみましょう[4-10]。
| 食品 | 1食の目安量 (g) | 1食あたりの葉酸 (μg) |
| 鶏レバー(生) | 30 | 390 |
| えだまめ(ゆで) | 50 | 130 |
| アスパラガス(炒め) | 50 | 110 |
| いちご(生) | 100 | 90 |
| ほうれんそう(炒め) | 50 | 70 |
| ブロッコリー(ゆで) | 50 | 60 |
次に、20代・30代女性が実際に食事からどのくらいの葉酸を摂取しているのかを見てみましょう[11]。
| 年代 | 葉酸摂取量の平均値 (μg/日) |
| 20〜29歳女性 | 219 |
| 30〜39歳女性 | 213 |
平均値は219μg(20代)、213μg(30代)と、非妊娠時の推奨量240μg/日にも届いていないのが現状です。とはいえ、葉酸を多く含む食品を組み合わせれば、240μgを満たすことは十分可能です。
ただ、妊娠を計画している女性や妊娠初期の女性に必要とされる約1,040μg/日となると、食事だけで毎日続けるのは容易ではありません[3]。こうした背景から、食事を基本としながら、必要な量を補うためにサプリメントなどを活用することがすすめられているのです[1,2]。
妊娠を考え始めたら葉酸を

葉酸サプリメントの活用について紹介してきましたが、基本となるのはあくまでも毎日の食事です。葉酸に限らず、妊娠前後に意識したい栄養素は他にもあります。バランスの良い食事を心がけ、さまざまな食材から必要な栄養素を摂るようにしましょう。
なお、サプリメントからの葉酸は、摂れば摂るほど良いというものではありません。食事以外から摂る合成葉酸は、1,000μg/日を超えないようにすることがすすめられています[2]。
妊娠してからではなく、妊娠を考え始めたときが葉酸を始めるベストなタイミングです。サプリメントも上手に取り入れながら、妊娠に備えていきましょう。
【参考文献】(すべて2026年8月9日閲覧)
[1] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2025年版), 水溶性ビタミン
[2] 厚生労働省, 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について
[3] 国立健康・栄養研究所, 妊娠中のサプリメントの利用について(「健康食品」の安全性・有効性情報)
[4] 消費者庁, 食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン
[5] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 肉類/<鳥肉類>/にわとり/[副品目]/肝臓/生
[6] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 野菜類/えだまめ/ゆで
[7] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 野菜類/アスパラガス/若茎/油いため
[8] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 果実類/いちご/生
[9] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 野菜類/ほうれんそう/葉/通年平均/油いため
[10] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 野菜類/ブロッコリー/花序/ゆで
[11] 厚生労働省, 令和6年国民健康・栄養調査報告 第1部 栄養摂取状況調査の結果
著者プロフィール

管理栄養士・登録販売者・サプリメントアドバイザー Chinami
漢方薬メーカーに勤務する管理栄養士。「東洋医学×栄養学」を軸に、漢方・栄養相談やヘルスケアコラムの執筆を行っています。登録販売者・サプリメントアドバイザーとしての知識も活かし、薬食同源の考えをベースに、食と薬の両面から健康をサポート。栄養学だけでなく、漢方の視点も取り入れながら、一人ひとりのライフスタイルに寄り添った健康づくりを提案しています。エビデンスに基づいた正確な情報を大切にし、専門的な内容も「なぜ体に良いのか」が納得できるよう、わかりやすく伝えることを心がけています。
