産後ダイエットいつ始める?「無理しない」ダイエット4つのコツ【管理栄養士が解説】

「産後、思ったより体重が落ちない…」と感じたことはありませんか?
出産という大きな出来事を終えた今、育児に追われて自分のことは後回しになってしまいがちですよね。
しかし、産後の体重管理を長い間放っておくと、肥満につながり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが高くなることが指摘されています[1]。
この記事では、産後に無理なく取り組めるダイエットの基本とポイントをご紹介します。

目次

産後すぐは“減量”より回復優先!極端なダイエットは控えましょう

世界保健機関(WHO)は「産褥期」を「出産直後から産後6週間(42日)までの期間」と定義しています。分娩から産褥期にかけては、女性の体が大きく変化する時期です。具体的には、会陰部の傷や痛み、頭痛や腰痛、乳房の張りや痛み、後陣痛、そして悪露などがあります[2]。産褥期の体はデリケートなので、まずは体調の回復を優先し、極端な食事制限や激しい運動は控えましょう。

では、いつごろから「産前の体重に戻していくこと」を意識すればよいのでしょうか。そう疑問に思う方も多いかもしれません。米国産婦人科学会(ACOG)のガイドラインによると、産後の6〜12か月くらいを目安に、妊娠前の体重に近づけていくことが推奨されています[3]。

体調が安定したら、まずは体の状態チェック

体重計やメジャー

「肥満」とは、見た目の体重の重さだけでなく、体内に脂肪が過剰に蓄積された状態を指します。

産後の体調が少し落ち着いてきて、「そろそろ体重も気になるな」と感じたら、いきなり減量を始めるのではなく、まずは今の体の状態を数値で把握することから始めてみましょう。「肥満度」を計算することで、今の体の状態を客観的に判断することができます[1]。

肥満度

肥満の判定には、体格指数であるBMI(Body Mass Index)を活用します。

※【BMIの計算式】
   BMI=現在の体重(kg)÷ 身長(m)²

日本では、BMIが25以上の場合を「肥満」と定義しています[1]。

目標とするBMIの範囲

『日本人の食事摂取基準(2025年版)』では、目標とするBMIの範囲が定められています。

上限の数値は、総死亡率を低く抑えると考えられるBMIを基本に、BMIと関連する生活習慣病の有病率、医療費、高齢期や働き盛り世代での身体機能の低下など、さまざまな要素を考慮して設定されたものです[4]。

ただし、BMIはあくまでも体の状態をおおまかに把握するための指標のひとつで、肥満ややせを正確に判断できるものではありません。

年齢(歳)目標とするBMI(kg/m²)
18~4918.5~24.9
【出典】厚生労働省『日本人の食事摂取基準 (2025年版)』[4]

産後ママのための「無理しない」ダイエット4つのコツ

食事をする女性

体重を減らすためには、食事などから摂取するエネルギー(摂取カロリー)を、運動などで消費するエネルギー(消費カロリー)より少なくする必要があります。そのためには、毎日の食事や運動量を見直し、無理のない範囲でバランスを整えることが大切です[4]。また、十分な睡眠をとるなど、生活リズムを整えることも重要です[5]。以下に具体的なポイントをご紹介します。

1.“食べすぎ”を防いでカロリーを整えよう

食べすぎると摂取カロリーが過剰になり、体重が増える原因になります。特定の食品を避けたり、無理に食事量を減らすのではなく、摂取カロリーと栄養素のバランスを意識しましょう。

ただし、授乳中の女性は、妊娠前よりも多くの摂取カロリーが必要になります。『日本人の食事摂取基準 (2025年版)』では、非妊娠時よりも+350kcal/日摂取カロリーを増やすことが推奨されています[4]。

【授乳期に必要な推定エネルギー必要量】

非妊娠時
(18~29歳、身体活動レベルふつう)
非妊娠時
(30~49歳、身体活動レベルふつう)
授乳婦
推定エネルギー必要量
(kcal/日)
1,9502,0502,300
~2,400
【出典】厚生労働省『日本人の食事摂取基準 (2025年版)』[4]

2.おやつは“量と質”を意識して賢くとろう

お菓子には、脂質や炭水化物といったエネルギー源が多く含まれますが、果物や野菜、きのこ、海藻類などに含まれるビタミンやミネラルはほとんど含まれていません。そのため、お菓子の量が増えるほど、食事全体として大切な栄養素が不足する可能性があります[6]。
1日の食事全体のバランスを意識し、食事量を極端に減らさずに済み、なおかつ摂取カロリーが過剰にならない範囲で取り入れるのがポイントです[4]。

3.無理なく続けられる運動を取り入れよう

運動で消費カロリーを増やすことも、産後の体重管理には大切です。
産後は、ウォーキングなどの中強度の有酸素運動を週150分を目安に行うことが推奨されています。まずは体の回復を最優先にしながら、痛みや疲れが出ない範囲の短時間の散歩から始めましょう。座りっぱなしの時間を減らし、日常生活の中でこまめに体を動かすだけでもプラスになります[7]。

4.産後はがんばりすぎ注意!ストレス・睡眠不足と上手につき合う

出産後は、ホルモンの変化に加えて、夜間授乳や慣れない育児が重なり、心身の負担が大きくなります。睡眠不足は肥満のリスクにつながるだけでなく、うつ病などの精神疾患の発症リスクを高めるおそれがあることが報告されています[5]。
産後は一人でがんばりすぎず、周囲のサポートも活用しながら、できるだけ休息と睡眠を確保することが大切です。

まずはできることから!無理せず、今日から一歩を踏み出そう

産後のダイエットは、極端な食事制限ではなく、自分の体と向き合いながら、生活を少しずつ整えていくことが大切です。まずは、今の体の状態を数字で知ることから始めてみましょう。
そして、毎日の食事や間食の見直し、軽い運動など、日常生活の中でできることを少しずつ取り入れてみてください。完璧を目指す必要はありません。今日からできることをひとつだけ。無理のないペースで、ダイエットを始めてみましょう。

■参考文献(すべて2026年3月10日閲覧)
[1] 日本肥満学会, 肥満症診療ガイドライン2022
[2] World Health Organization (2022).WHO recommendations on maternal and newborn care for a positive postnatal experience.Geneva
日本語の要約版
[3] American College of Nurse-Midwives and the National Association of Nurse Practitioners in Women’s Health; American College of Obstetricians and Gynecologists and the Society for Maternal–Fetal Medicine; Louis JM et al, Interpregnancy Care. Am J Obstet Gynecol. 2019 Jan;220(1):B2-B18.
[4] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準 (2025年版)
[5] 厚生労働省, 健康づくりのための睡眠基準・指針の改訂に関する検討会, 健康づくりのための睡眠ガイド2023
[6] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
[7] World Health Organization (2020). WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour. Geneva

著者プロフィール

栄養士/米国IPHI産前~産後栄養コーチ
藤本めぐみ

妊娠・出産を機に心身の不調を経験し、産前〜産後の不安に寄り添いながら、無理なく続けられる食事・体調管理のサポートを目指して活動中。生活習慣病や女性の健康をテーマに、科学的根拠に基づいたヘルスコラムの執筆に取り組むほか、産後ママ向けのヘルスコーチングの提供に向けて準備を進めている。

  • URLをコピーしました!
目次