女性ホルモンが減るサインとは?更年期世代のための食事の工夫

疲れている女性

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。
※健康・栄養に関するヘルスケアコラムの執筆・監修は、こちらよりご依頼いただけます。

最近、生理の乱れやイライラ、夜中に目が覚めるといった変化を感じることはありませんか。こうした不調の背景には、年齢とともに変化する女性ホルモンの影響に加えて、日々の生活習慣や食事の積み重ねも関わっているといわれています[1]。このコラムでは、女性ホルモンの変化を整理しながら、今日からできる「食事の工夫」をご紹介します。

目次

「なんとなく不調」は要注意?女性ホルモンが減り始めたサインかも

女性ホルモンが減ってくると、日常生活の中でさまざまな「不調」として表に出てくることがあります。
更年期には、ほてり(ホットフラッシュ)や急な発汗、疲れやすさ、めまい、動悸、肩こり、腰や関節の痛み、不眠やイライラ、気分の落ち込みなど、心身に幅広い症状がみられます。

こうした背景には、卵巣機能の低下によるエストロゲン減少に、加齢やストレス、家庭・仕事の環境などが重なることがあると考えられています[1]。「性格の問題」「気のせい」と片づけず、女性ホルモンの変化によるサインかもしれないと知っておくことが大切です。

女性ホルモンの正体は一体何?

女性の体に大きな影響を与える卵巣ホルモンには、卵巣で産生されるエストロゲンと、排卵後に黄体から分泌されるプロゲステロンがあります。エストロゲンは卵胞期(月経周期の1日目から排卵までの時期)に多く分泌され、子宮内膜を整えるなど妊娠に備えた変化を促します。一方、プロゲステロンは排卵後に増え、妊娠の成立と維持に必要な体の変化を促します[2]。

女性ホルモンはいつ・なぜ減る?ライフステージごとに変わる女性ホルモンの波

女性ホルモンの中でも、特にエストロゲンの分泌は一生を通じて一定ではなく、ライフステージとともに大きく変化します[2]。

思春期

思春期は生殖器が成長・発達していく時期です。その過程にはエストロゲンとプロゲステロンが重要な役割を果たします[2]。

周産期

周産期(妊娠〜産後)では、妊娠中はエストロゲン濃度が上昇する一方、産後にはエストロゲンが急激に低下するのが特徴です[3]。

更年期

更年期は日本では閉経前後5年の約10年間を指します。卵巣機能が低下してエストロゲンが少なくなることが、ホットフラッシュなどの更年期症状の一因とされています[1]。

高齢期

高齢期は、閉経により卵巣がエストロゲンを産生しない状態が続きます[2]。エストロゲンが減ると骨代謝のバランスが崩れて骨密度が低下し、骨粗鬆症のリスクに注意が必要です。さらに、脂質異常症や動脈硬化などの生活習慣病のリスクも高まります[1]。

知っておきたい「妊娠・授乳関連骨粗鬆症(PLO)」

赤ちゃんと母親

「妊娠・授乳関連骨粗鬆症(pregnancy- and lactation-associated osteoporosis:PLO)」は、妊娠後期および産後の授乳期間中に骨密度が下がり、骨の構造にも変化が起こることで、骨折しやすくなる疾患です。

背景として、産後のエストロゲン低下が関係するとされています。また授乳期には、赤ちゃんのカルシウム需要を満たすため骨吸収(古い骨を壊す働き)が増えることがあり、骨密度低下につながるとされています。

産後1年以内の女性を対象にした複数の研究をまとめた分析結果(メタアナリシス)では、「妊娠・授乳関連骨粗鬆症(PLO)」の有病率が5〜12%と報告されています[3]。産後の強い腰痛や骨折歴が気になる場合は、一度医療機関で相談してみましょう。

更年期の不調を和らげるために!今日からできる食事の工夫2選

豆乳と大豆

「女性ホルモンの減少」は止められませんが、その影響を和らげていくことは可能です。ここでは、今日から意識したい食事ポイントを2つご紹介します。

1.ホットフラッシュの頻度を減らす?!大豆イソフラボン

大豆イソフラボンには植物エストロゲンとしての働きがあり、ホットフラッシュの頻度を減少させることが報告されています[1]。豆腐、納豆、豆乳、味噌などの大豆製品を、毎日の食事に取り入れてみましょう[4]。

ただし、高用量・長期間の大豆イソフラボン摂取では子宮内膜増殖症のリスクが指摘されています[1]。食品安全委員会では、安全な一日摂取目安量の上限を、アグリコン換算で70〜75mg/日としています。例えば、納豆は1パック(約45g)なら大豆イソフラボン約33mgに相当します[5]。

まずは食品(豆腐・納豆・味噌など)を中心に取り入れ、サプリメントなどを利用する場合は、上限を超えないように量に注意することが大切です。なお、妊娠中の女性はサプリメントなどで追加摂取することは避けましょう。

2.骨を守るためにカルシウムをプラス

骨密度を増やすために、骨の材料となるカルシウムをしっかりとることが大切です。『日本人の食事摂取基準(2025年版)』では、30代〜50代のカルシウムの推定平均必要量は「550mg/日」と定められています[6]。

一方、令和6年度の『国民健康・栄養調査』では、カルシウムの平均摂取量は40代〜50代で約410〜450mgと報告されており、推定平均必要量よりも不足している状況です[7]。

牛乳・ヨーグルトなどの乳製品、小魚や青菜、豆腐・納豆などの大豆製品にはカルシウムが含まれています[4]。こうした食品を、毎日の食事に少しずつ取り入れることが大切です。

女性ホルモンと上手につきあうために

笑顔で食事をする女性

女性ホルモンの減少は誰もが通る自然な変化ですが、日々の食事の積み重ねで、その影響をやわらげることができます。今日ご紹介した中から「これならできそう」ということを一つだけ続けてみましょう。それが、これからの骨と体を守る第一歩になります。

【参考文献】(すべて2026年4月22日閲覧)
[1] 公益社団法人 日本産科婦人科学会 公益社団法人 日本産婦人科医会, 産婦人科 診療ガイドライン-婦人科外来編2023
[2] Dias Da Silva I, et al. Unraveling the Dynamics of Estrogen and Progesterone Signaling in the Endometrium: An Overview. Cells.2024; 13(15):1236.
[3] Fukushima M, et al. Prevalence of pregnancy- and lactation-associated osteoporosis in the postpartum period: A systematic review and meta-analysis. Drug Discov Ther. 2024;18(4):220–228. doi:10.5582/ddt.2024.01037.
[4] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
[5] 内閣府食品安全委員会, 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
[6] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準 (2025年版)
[7] 厚生労働省, 令和6年国民健康・栄養調査報告

著者プロフィール

栄養士/米国IPHI産前~産後栄養コーチ
藤本めぐみ

妊娠・出産を機に心身の不調を経験し、産前〜産後の不安に寄り添いながら、無理なく続けられる食事・体調管理のサポートを目指して活動中。生活習慣病や女性の健康をテーマに、科学的根拠に基づいたヘルスコラムの執筆に取り組むほか、産後ママ向けのヘルスコーチングの提供に向けて準備を進めている。

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