【管理栄養士が解説】納豆に豊富に含まれる注目したい栄養素とは?

納豆に豊富に含まれる注目したい栄養素

日本の伝統的な食文化に欠かせない食品のひとつに納豆があります。そして、多くの方が「納豆は栄養たっぷりで健康に良い」というイメージをもっているのではないでしょうか。手軽に食べることができるため、冷蔵庫に常備している方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、そんな納豆に豊富に含まれる栄養素の中から特に注目したい5つを選び、その働きや含有量について解説します。

納豆に豊富な注目すべき5つの栄養素

納豆に豊富に含まれる代表的な栄養素は、たんぱく質、食物繊維、ビタミンK、葉酸、鉄です。それぞれ納豆1パック(50g)あたりで、1日に必要な量をどのくらい満たすことができるのかも併せてお伝えしていきます[1,2]。

利用効率が良いたんぱく質

たんぱく質は、私たちの筋肉・臓器・皮膚・毛髪などを作っている成分の一つであり、ホルモン・酵素・抗体などの体の機能を調整する成分としても大切な栄養素です。納豆は、たんぱく質を含む食品の中でも、体内で作ることができない必須アミノ酸をバランスよく含んでいるのも嬉しいですね[3]。

納豆1パック(50g)には、8.2gのたんぱく質が含まれています[2]。この量は成人男性(18~64歳)の1日に摂りたい量の約1/8、成人女性(18~64歳)では約1/6に相当します[2,3]。

生活習慣病の予防に関わる食物繊維

食物繊維は、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。現在、多くの日本人に不足している栄養素なので、積極的に摂取したいものです[3]。

生活習慣病予防のためには、成人男性(18~29歳)は1日20g以上、(30~64歳)では1日22g以上、成人女性(18~64歳)1日18g以上の摂取が推奨されています。納豆1パック(50g)には、4.7gの食物繊維が含まれており、成人の1日の目標量の約1/4〜1/5に相当します[2,3]。

納豆菌が生産するビタミンK

ビタミンKは脂溶性ビタミンで、血液凝固や丈夫な骨づくりにも欠かせない栄養素です。納豆菌が大豆を発酵させる過程で、メナキノン-7というビタミンKを生産します[3]。

成人が1日に必要な摂取量の目安は150μg。納豆1パック(50g)には435μgのビタミンKが含まれているため、1パック食べると1日に摂りたいビタミンKを十分に摂ることができます[2,3]。

胎児の神経管の発育を助ける葉酸

葉酸は、細胞の増殖に深く関わっており、胎児の神経管の発育を助けます。不足すると、貧血を引き起こしたり、動脈硬化の引き金になる血清ホモシステイン値が高くなることも。特に妊娠中・授乳中は、通常よりも多く摂る必要があるので、意識して摂りたいですね[3]。

巨赤芽球性貧血の予防のために、成人は1日240μgの摂取が推奨されています[3]。納豆1パック(50g)あたり65μgの葉酸が含まれているため、推奨量の約1/4以上を摂ることができます[2,3]。

不足すると貧血を引き起こす鉄

鉄はヘモグロビンや酵素を作り、不足すると貧血や運動機能、認知機能などの低下を招きます。必要量は男女で異なり、女性は月経の有無や妊娠・授乳期によって変動します[2]。

1日に摂りたい鉄の推奨量は成人男性7.5mg、成人女性(月経なし)6.0mg、月経あり(18~29歳)10.0mg、月経あり(30~64歳)10.5mgです。納豆1パック(50g)には1.6mgの鉄が含まれているため、鉄を補給する食品としても取り入れたいですね[2,3]。

ワルファリンを服用している方は気をつけて!

納豆に豊富に含まれる注目したい栄養素

納豆の魅力をお伝えしましたが、ワルファリンを服用している方は注意が必要です。ワルファリンはビタミンKの働きを抑えることで血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ薬ですが、納豆を食べることでその作用が弱くなってしまうことがあります。そのため納豆の摂取は、医師と相談して検討しましょう[3]。

納豆のパワーで健康をサポートしよう!

納豆は、日本人に不足しがちな栄養素を効率よく摂れる、毎日の食事に積極的に取り入れたい食品のひとつです。しかし、納豆だけでは健康を維持するために必要な全ての栄養素を補うことはできません。主食・主菜・副菜をバランスよく組み合わせた食事に納豆を取り入れ、栄養素を効率的に摂取しましょう。

【参考文献】(すべて2025年1月30日閲覧)
[1] 消費者庁, 栄養成分表示及び栄養強調表示とは
[2] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 豆類/だいず/[納豆類]/糸引き納豆
[3] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2025年版)

著者プロフィール

中川麻奈美 管理栄養士

管理栄養士 中川麻奈美
病院、福祉施設に勤務した後、学校給食業務に携わる。より人々の健康作りに貢献したいとの思いから、特定保健指導やヘルスケアコラムの執筆活動にも注力している。主に生活習慣病の予防を中心に、健康的な食生活を支えられる科学的根拠のある情報を発信することを大切にしている。
プロフィールはこちら