【管理栄養士が解説】子どもの便秘を改善したい!家庭でできる食事と生活習慣の工夫

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。
「子どもの便秘が気になる」そんな経験はありませんか?
子ども(0〜18歳)の便秘は、食生活や生活リズムの乱れ、排便習慣の変化など、さまざまな要因が重なって起こります[1]。放置すると、子どもの生活に支障を与える恐れもあるため、早めの対策が欠かせません。便秘を改善するには、毎日の食事や生活習慣を見直すことが大切です。
この記事では、家庭で簡単にできる食事や生活習慣の工夫について、管理栄養士が分かりやすくご紹介します。
子どもは便秘になりやすい?
「便秘」とは、便が腸にたまって出にくくなる状態を指します。中には、治療が必要となる「便秘症」と呼ばれるケースもあります。便秘になる原因には、離乳食開始時期などによる食事内容の変化、牛乳アレルギー、排便時の嫌な経験、入園や小学校入学、引っ越しなどによる生活環境の変化などがあります。
特に、2~4歳のトイレトレーニング時期が発症のピークとされており、排便時の痛みや不適切な経験を繰り返すことで、排便を避けるようになることがあります[1]。
健康な子どもの排便回数の目安。どのくらい?

排便回数は、子どもの年齢や発達段階によって異なります。授乳方法や食事内容、生活習慣、家族の文化や環境、活動量なども影響し、心身の成長とともに変化していきます[1]。
以下に、健康な子どもの排便回数の目安を示します。
【健康な子どもの排便回数の目安】
| 年齢 | 排便回数( /週) | 排便回数( /日) | |
| 0~3か月 | 母乳栄養児 | 5~40 | 2.9 |
| 人工栄養児 | 5~28 | 2.0 | |
| 6~12か月 | 5~28 | 1.8 | |
| 1~3歳 | 4~21 | 1.4 | |
| 3歳以上 | 3~14 | 1.0 | |
放っておくと大変!? 悪循環でこんなことに…
便秘には短期間で改善する「一過性」のものもありますが、長引くと「慢性便秘症」になります。
慢性便秘症では、便が腸内に長く留まることで硬く太くなり、排便時に痛みを伴うこともあります。その痛みを避けるために子どもが排便を我慢すると、さらに便が腸内に留まり、便秘が悪化するという悪循環に陥りやすくなります。
このような状態が続くと、腹痛やお腹の張り、不安感、排便時の痛みや出血が起こり、子どもの生活に影響を与えるほど長期化することがあるため、早めの対策が大切です[1]。
おなかスッキリ!子どもの便秘を和らげる食事ポイント

便秘を改善する第一歩として、生活習慣の見直しが大切です。中でも食事は、便の硬さや量、排便回数に大きな影響があるため、ここでは、毎日の食事で意識したいポイントを2つご紹介します[1]。
食物繊維を意識してとろう!
食物繊維は「人の消化酵素で分解されない成分」で、摂取量を増やすことが、子どもの便秘改善のために勧められています[1]。
実際に、様々な研究をまとめた報告では、子どもの高食物繊維摂取が便秘の改善に関連していることが示されています。しかし、便秘改善のためにどれだけ摂取するべきかという量は、まだ明らかになっていません。
食物繊維を多く摂ることは便秘改善のほか、将来の生活習慣病予防にもつながるため、日々の食事で意識してみましょう[2]。
【食物繊維量UPの工夫】
食物繊維は動物性食品(魚介類や肉類、卵など)にはほとんど含まれず、植物性食品に多く含まれます。特に豆類、野菜、果物、きのこ、海藻などを、毎日の食事で意識して取り入れましょう。
以下に食物繊維量UPの工夫例を示します[3]。
・野菜を細かく切ってスープやカレーに加える
・果物をおやつやデザートに取り入れる
・白米に雑穀をまぜて、自然に食物繊維をプラス
・きのこや海藻は、味噌汁や炒め物に少しずつ取り入れる
水分をとれば便秘はよくなる?
「水分をたくさん飲めば便秘が解消される」という明確な根拠はありませんが、水分摂取が不足すると、便が硬くなる傾向があります。
また治療を受けても改善が見られない場合、牛乳アレルギーが関与していることもあります。牛乳アレルギーが疑われる場合は、自己判断をせず、医療機関を受診しましょう。医師の指示のもと一定期間牛乳を控えることで、症状が改善することがあります[1]。
毎日の生活で意識したい便秘改善習慣

食事だけでなく、毎日の生活リズムや排便習慣も便秘対策には大切です。便意を感じても排便を我慢することが多いと、便秘が悪化しやすいと考えられています。家庭や学校でのちょっとした工夫が、便秘の予防、改善につながります[1]。
【便秘対策の例】
・トイレトレーニングの時期は、失敗を叱らず、ご褒美で前向きに取り組めるようにする
・朝食後に排便の習慣をつける
・朝食後のトイレ時間を確保するため、早寝早起きをする
・学校では先生に相談して、必要な時にトイレに行ける環境を整える
小さな工夫で大きく変わる!親子で取り組む便秘改善
子どもの便秘は、食事や生活リズム、排便習慣などが重なって起こります。放置すると悪循環に陥るため、早めの対策が欠かせません。
子どもの便秘改善には、食事やトイレトレーニング、学校への相談など、生活習慣の工夫が大切であり、そこには親のサポートが欠かせません。
さらに、食事量が十分か、無理なダイエットをしていないかを見守ることも大切です。
「うちの子は大丈夫かな?」と不安に思う方もいるでしょう。気になる症状や不安がある場合は、早めに医療機関を受診してください。毎日の小さな工夫で、子どもの「おなかスッキリ」へつなげませんか。
【参考文献】(すべて2025年10月18日閲覧)
[1] 日本小児栄養消化器肝臓学会, 小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン(2025年版)
[2] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2025年版)
[3] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
著者プロフィール

管理栄養士・フードスペシャリスト
たわら りえ
「食×色」の視点から、疾病予防とQOL向上を目指して活動中。総合病院や特定保健指導での経験を活かし、子どもから高齢者まで幅広い世代の健康をサポート。学校給食だよりや病院広報誌の執筆経験があり。現在は高齢者教室の媒体づくり、コラム執筆にも携わっている。また、kashikoメソッド™の色や言葉の力を取り入れ、“楽しみながら続けられる食事”を大切に活動している。
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