コーヒーは血圧を上げる?下げる?最新の研究から分った意外な新事実【管理栄養士解説】

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。
※健康・栄養に関するヘルスケアコラムの執筆・監修は、こちらよりご依頼いただけます。
コーヒーは世界中で親しまれていますが、「血圧が気になるから、大好きなコーヒーを控えている」という方もいるのではないでしょうか。
カフェインには一時的に血圧を上昇させる働きがあるため、長年「コーヒーは高血圧のリスクになる」と考えられてきました[1]。しかし、近年の研究においてその常識が大きく覆されようとしています。
今回は、2023年に発表された最新の研究論文を基に、コーヒーと血圧の意外な関係について詳しく解説します。
コーヒーを飲む人ほど高血圧リスクが低い?
2023年に発表された46万人以上のデータ(25件の研究)を分析した研究では、コーヒーをよく飲む人ほど高血圧になるリスクが低いという報告がされています。
具体的には、コーヒーを最も多く飲むグループは、最も少ないグループと比べて、高血圧の発症リスクが7%減少していました。この傾向は、特に10年以上に渡る長い期間コーヒーを飲み続けている人で、よりはっきりと認められています。つまり、「一杯飲んで血圧が少し上がる」という一時的な反応よりも、「毎日飲み続ける習慣」がもたらす長期的なメリットの方が大きいことが分かってきたのです。
なお、今回紹介している研究は、複数の研究結果をまとめて分析したものです。そのため、コーヒーの種類や淹れ方(インスタント、ドリップなど)について統一されておらず、研究ごとで定義が異なります。特定の種類のコーヒーに限定した結果ではない点には注意が必要です[1]。
なぜコーヒーが血圧に良いとされているの?

血圧の低下には、コーヒーに含まれる成分が関係していると考えられています。
コーヒーにはカリウムやマグネシウム、ビタミンE、ナイアシンといった、血圧を整える栄養素と、ポリフェノールなどが含まれています。これらの成分は、体の中のサビを防ぐ抗酸化作用や、炎症を抑える抗炎症作用などがあり、これらの働きを通じて血圧の調整に関わると考えられています。
また、コーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸は、インスリンの働きに関与することが示唆されています。インスリンのバランスが崩れると、体に余分な塩分(食塩)が溜まったり、神経が興奮したり、血管の壁が厚くなったりして、血圧の上昇と関連する可能性があります。
こうした複数の作用が重なることで、コーヒーは血圧に対して調整的に働く可能性があると考えられています[1-3]。
条件によって変わる?コーヒーと血圧の関係に差が出る理由
一方で、コーヒーの健康効果は万能ではなく、条件に左右されます。
研究では、地域によって結果に差が見られており、特に米国ではリスク低下が顕著な一方、欧州やアジアでは結果が一致しない場合もあり、明確ではありません。これは米国の摂取量(1日3杯以上)の多さや、コーヒーの淹れ方、遺伝的要因が影響していると考えられます。また、性別では特に女性で効果が安定して確認されています。
さらに、喫煙習慣があるとコーヒーのメリットが打ち消される可能性があるため、禁煙を含めた生活習慣全体の見直しが重要です[1]。
コーヒーを健康的に楽しむポイント

コーヒーを日常に取り入れる際は、いくつかのポイントを意識してみましょう。
1. ブラックまたはミルクで、お砂糖なしが基本
ブラックまたはミルクで、お砂糖なしが基本コーヒーに含まれるカリウムやポリフェノールの恩恵をしっかり受けるためには、砂糖を控えて飲むのがおすすめです。研究では、砂糖で甘くした飲み物の摂りすぎは、高血圧のリスクを高めることが指摘されています。「ブラックは苦くて苦手……」という方は、砂糖の代わりにミルクを加えてみましょう。ミルクを加えることによる血圧への悪影響はこの研究では示されておらず、むしろリスクとなる「砂糖」を避けるための良い選択肢になります[1,4]。
2.適量を継続する
良い結果が見られたのは、1日3杯程度を10年以上飲み続けている人たちです。1日3杯未満では効果が得られにくいとの報告もあり、「毎日3杯」の継続がポイントです。即効性はありませんが、毎日3杯程度を10年以上続けることで、将来の高血圧リスクを下げる可能性があります。また、手軽なインスタントコーヒーは、ドリップコーヒーよりも抗酸化作用が高いという意外な報告もあります。お好みのスタイルで、無理のない範囲で、毎日の楽しみに取り入れましょう[1]。
コーヒーは控えるより「上手に取り入れる」がカギ
今回ご紹介した研究では、「コーヒーは高血圧の敵ではなく、むしろ予防に関与する可能性がある」ということを示しています。
血圧が気になるからと無理に大好きなコーヒーを断つ必要はありません。もちろん、お薬を飲んでいる方や持病のある方は主治医への相談が大切ですが、一般的には「賢く選んで、おいしく飲み続ける」ことが、あなたの血管を守る新しい習慣になるかもしれません。自分の体調や生活スタイルに合わせながら、無理のない範囲で楽しんでいきましょう。
【参考文献】(すべて2026年4月14日閲覧)
[1] Haghighatdoost F, et al. Coffee Consumption and Risk of Hypertension in Adults: Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2023 Jul 7;15(13):3060.
[2] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, し好飲料類/<コーヒー・ココア類>/コーヒー/インスタントコーヒー
[3] 農業・食品産業技術総合研究機構, 機能性成分含有量情報(嗜好飲料類)
[4] Schwingshackl L, et al. Food Groups and Risk of Hypertension: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Prospective Studies. Adv Nutr. 2017 Nov 15;8(6):793-803.
著者プロフィール

管理栄養士
望月 ひより
総合病院にて10年以上管理栄養士として勤務し、延べ1万件以上の栄養指導を経験。生活習慣病や高齢者支援に力を注ぎ、現在は健康福祉分野で地域住民を対象にした健康教育や食育活動を行っている。
