子どもの食物アレルギーはなぜ起こる?原因食品と家庭での対応の仕方【管理栄養士解説】

食事をする親子

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。
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子どもが特定の食品を食べたあとに、じんましんが出たり、急に咳き込んだりすると、「なぜうちの子が?」と不安になりますよね。「食べさせ方が悪かったのでは」と自分を責めてしまう保護者の方もいるかもしれません。しかし、食物アレルギーは育て方そのものが直接の原因で起こるわけではありません。体の中で起こる「免疫の反応」が関係しています[1]。
まずは、子どもの食物アレルギーの仕組みや原因について整理してみましょう。

目次

食べ物が「敵」になる?体の中で起きていること

食物アレルギーは、本来であれば体に害のない食品を、免疫が誤って「敵」と認識してしまうことで起こります。私たちの体には、細菌やウイルスから身を守るための「免疫」という仕組みがあります。通常、食品は体にとって安全な存在です。しかし、何らかのきっかけで特定の食品を「危険なもの」と認識してしまうと、その食品を口にしたときに体が過剰に反応し、皮膚や消化器、呼吸器などに症状が現れます。多くは「IgE抗体」という免疫物質が関与する即時型の反応で、食後おおむね2時間以内に症状が出るのが特徴です。じんましんや皮膚の赤み、嘔吐、咳などさまざまで、重症の場合はアナフィラキシーを起こすこともあります[1,2]。

子どもに多い原因食品は?年齢による違い

パンと玉子

子どもの食物アレルギーでは、年齢によって原因食品の傾向が異なります。乳児期では、鶏卵、牛乳、小麦が多い原因食品として報告されています。一方、幼児期になると引き続き鶏卵は多いものの、牛乳や小麦の割合は変化し、木の実類や魚卵類がみられるようになるのもこの時期の特徴です。このように、原因食品は成長とともに少しずつ変わっていきます。成長とともに耐性(食べられるようになること)を獲得する子どもも少なくありません。「原因食品=一生食べられない」と決まっているわけではないのです[1,2]。

子どもの食物アレルギーは治る?成長とともにどう向き合うか

食物アレルギーの経過は一人ひとり異なりますが、年齢とともに変化する傾向があることをご存じでしょうか。特に乳児・幼児早期にみられる即時型食物アレルギーのうち、鶏卵、牛乳、小麦は、年齢が上がるにつれて食べられるようになる可能性が高いという報告があります。一方で、甲殻類、そば、ピーナッツ、木の実類などは思春期以降も症状が続くことが多いとされています。そのため、現在の状態だけで将来を決めつけることはできません。

現在の『食物アレルギー診療ガイドライン』では、単に除去を続けるだけでなく、定期的に状態を評価し、可能であれば食べられる範囲を広げていくことが推奨されています。その判断のために、医療機関で血液検査や食物経口負荷試験が行われることがあります。基本は、原因と診断された食品のみを避ける「必要最小限の除去」です。自己判断で広く制限しすぎないことが大切です[1,2]。

栄養面への配慮も欠かせない

和定食

食物アレルギーの管理では、安全性だけでなく、子どもの成長に必要な栄養を確保できているかという視点も重要です。子どもの食物アレルギーでは、鶏卵・牛乳・小麦が原因食品として多くみられるため、ここではこれらの食品を除去する場合を例に、食事で意識したい栄養のポイントを見ていきましょう[1]。

牛乳を除去する場合

牛乳を除去する場合は、特にカルシウムの不足に注意が必要です。カルシウムは骨の形成に欠かせない栄養素であり、成長期の不足は将来の骨量にも影響します。調製豆乳、しらすなどの小魚、小松菜などを組み合わせ、日々の食事で補う工夫が必要です[1,3]。

卵を除去する場合

卵を除去する場合は、特にたんぱく質が不足しないよう、肉・魚・大豆製品などから確保することが大切です。また、鶏卵不使用の魚・肉加工品(ちくわやウインナーなど)、マヨネーズ風の調味料、小麦や牛乳のアレルギーがなければ、鶏卵不使用の食パンやコーンフレークなども利用して献立の幅を広げてみましょう[4]。

小麦を除去する場合

小麦を除去する場合は主食量が減りやすく、エネルギー不足につながることもあります。米やいも類などを活用し、主食量を確保することが大切です[4]。


食品にはさまざまな栄養素が含まれています。ここでは、除去によって特に不足に気をつけたい栄養素に注目し、食事で意識したいポイントを紹介しました。

加えて、除去が長期にわたる場合は、身長や体重の伸びを定期的に確認し、成長曲線に沿って発育しているかを評価することが重要です[2]。
安全に除去を続けながら、発育に必要な栄養が確保できているかを客観的に確認していきましょう。

食物アレルギーを正しく知り、安心して向き合いましょう

食物アレルギーにおいて大切なのは、必要以上に怖がることでも、自己判断で無理をすることでもありません。気になる症状がある場合は、かかりつけ医に相談しながら、その子に合った対応を一つずつ重ねていくことが安心につながります。今日できることを、今日の分だけ。その積み重ねが、子どもの健やかな成長と「食べる楽しさ」を支えていきます。

【参考文献】(すべて2025年4月7日閲覧)
[1] 日本小児アレルギー学会, 食物アレルギー診療ガイドライン2021ダイジェスト版
[2] 厚生労働科学研究班, 食物アレルギーの診療の手引き2023
[3] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2025年版)
[4] 食物アレルギー研究会, 食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2022

著者プロフィール

管理栄養士 望月ひより

管理栄養士
望月 ひより

総合病院にて10年以上管理栄養士として勤務し、延べ1万件以上の栄養指導を経験。生活習慣病や高齢者支援に力を注ぎ、現在は健康福祉分野で地域住民を対象にした健康教育や食育活動を行っている。

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