離乳食を始めたいけれどアレルギーが怖い…最新の知見に基づき管理栄養士が徹底解説

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。
※健康・栄養に関するヘルスケアコラムの執筆・監修は、こちらよりご依頼いただけます。

「アレルギーが心配で、新しい食材をなかなか試せない」「ネットを調べても情報がバラバラで、なにを信じればいいのかわからない」。離乳食を始めるころになると、こんな不安を抱える保護者は少なくないのではないでしょうか。特に卵や牛乳、小麦などは、「いつから、どう進めればいいの?」と迷いやすいテーマです。この記事では、国の公的な指針をもとに、離乳食の基本とアレルギーに配慮した進め方を、管理栄養士の視点で整理していきます。

目次

離乳食とは?始めるサインと時期の目安

離乳食とは、母乳やミルクといった乳汁から、少しずつ食事へと移っていく過程と、その間に与える食事のことを言います。開始の目安は生後5~6か月ごろですが、月齢はあくまで目安です。同じ月例でも発達には個人差があるため、赤ちゃん一人ひとりの様子を見ながら判断することが大切です。

始めどきのサインには、次のようなものがあります[1]。
・首がしっかりすわり、支えてあげると座った姿勢を保てること。
・大人が食べている様子をじっと見たり、よだれが増えてきたりして、食べ物に興味を示すこと。
・スプーンを口に入れても舌で押し返す動きが弱まり、飲み込む準備が整ってくること。

アレルギーが心配…卵・乳・小麦はいつから始める?

ゆで卵

たんぱく質源のなかでも「卵・乳・小麦」は乳幼児が口にする機会が多く、この時期にアレルギーが起こりやすい食材として知られています。
「できるだけ遅らせたほうが安心では?」と考える方もいます。しかし現在は、原因となりやすい食材の開始を必要以上に遅らせても、食物アレルギーの予防には繋がらないと考えられています[2]。

取り入れる順番の目安

取り入れる順番としては、まず豆腐や白身魚といった消化の良いたんぱく質から始めるのが基本です。卵はしっかり加熱した卵黄から全卵へと段階的に進めていきましょう。小麦は、パン粥やうどんなど、主食の形で初期から少量ずつ試すことができます。乳製品はプレーンヨーグルトなどを中期以降に取り入れ、牛乳を飲み物として与えるのは1歳以降が目安です[1]。

離乳食の進め方の基本

離乳食は栄養素を補うだけでなく、食べ物を口に取り込み、噛んで飲み込む「食べる力(摂食機能)」を育てる大切な過程です。

生後5か月頃から1歳半頃までを「初期・中期・後期・完了期」の4つの段階に分け、赤ちゃんの発達に合わせて進めていきます。

新しい食材は、食べやすい硬さに調理し、少量から1種類ずつ増やして行くのが基本です。1種類ずつ試すことで、もし症状がでたときに、どの食材で反応が起きたかがわかりやすくなります。導入した後は数日間、体調に変化がないかを見ながら、無理のないペースで進めましょう[1]。

離乳初期(生後5~6か月頃)

最初の一歩は、米を多めの水でやわらかく炊いたお粥を、なめらかにすりつぶした「つぶし粥」からです。味付けは不要で、食材そのものの味を活かします。この時期は、食べ物を口に取り込み、口を閉じて「ごっくん」と飲み込む感覚に慣れることが目標です[1]。

離乳中期(生後7~8か月頃)

1日2回食に進め、決まった時間に食事をとりながら、授乳や昼寝とのバランスを整えていきます。食材は5mm角程度の細かさにし、舌でつぶせる豆腐くらいのやわらかさを目安に、舌と上あごでつぶして食べる練習を重ねます[1]。

離乳後期(生後9~11か月頃)

歯茎でつぶせるようになるのが目標で、食欲に応じて量を増やしていきます。自分で食べたい気持ちを育てるため、スティック状の野菜や小さなおにぎりなどを用意し、「手づかみ食べ」を取り入れていきましょう。手で触れることで硬さや温度を確かめ、一口量を自分で調整する力が育っていきます。汚れても良い工夫をしながら、赤ちゃんのペースを見守ることが何よりの応援になるでしょう。

なお、この頃から鉄や亜鉛が不足しやすくなるため、赤身の魚や肉なども取り入れたい時期です[1,3]。

離乳完了期(生後12~18か月頃)

エネルギーや栄養素の大部分を、母乳やミルク以外の食事から摂るようになります。前歯で食べ物を噛み取り、一口の量を覚える時期です[1]。

心配な「卵」と「乳製品」の進め方

アレルギーが気になる卵と乳製品は、「しっかり加熱して、少量から」が共通のポイントです。
体調の良い日の午前中に試すと、万が一の変化にも気づきやすく、医療機関を受信しやすい時間帯のため安心です。食べた後に発疹や嘔吐など、いつもと違う様子が見られた場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。

時期ごとの進め方の目安を以下に整理しました。

卵の進め方[1,2]

・離乳初期(5~6か月頃):お粥・野菜・豆腐などに慣れてきたころを目安に、しっかり加熱した卵黄を耳かき1杯ほどのごく少量から。

・離乳中期(7~8カ月頃):卵黄を1個分食べられるようになったら、しっかり加熱した全卵を少量から⅓個程度まで。

・離乳後期(9~11か月頃):全卵1/2個程度まで。

・離乳完了期(12~18か月頃):全卵2/3個程度まで。

乳製品の進め方[1,4]

・離乳中期(7~8カ月頃):脂質や糖質の少ないプレーンヨーグルトなどから少量ずつ始めます。

・牛乳(料理用):非加熱で飲ませるのではなく、加熱して料理の材料として使います。

・牛乳(飲用):飲み物として与えるのは1歳以降が望ましいとされています。牛乳は鉄の含有量が少なく、量によっては鉄不足のリスクが高まる可能性があるため、鉄欠乏性貧血を防ぐ観点からの目安になっています[1,4]。

離乳食は「焦らず・正しく」が合言葉。親子で楽しむ食事のスタートを

離乳食は「正解」を求めすぎると、保護者が疲れてしまいがちです。けれど進め方は時代とともに更新されており、かつての常識が今は変わっていることも少なくありません。SNSの口コミや古い情報に振り回されず、日本国内では『授乳・離乳の支援ガイド』のような公的な指針を土台に進めていくと安心です[1]。

「新しい食材は、平日の午前中に少量から」。このリスク管理の基本を押さえておけば、必要以上に不安にならずに済みます。赤ちゃんの発達に寄り添いながら、まずは親子で食事の時間を楽しむことから始めてみませんか。

【参考文献】(すべて2026年6月28日閲覧)
[1] 厚生労働省, 授乳・離乳の支援ガイド
[2] 日本小児アレルギー学会, 食物アレルギー診療ガイドライン(2021年版)
[3] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2025 年版)
[4] WHO, WHO Guideline for complementary feeding of infants and young children(2023)

著者プロフィール

管理栄養士/子どもの食育専門家
遠藤 恵

管理栄養士、保育士、調理師の3つの国家資格を持ち、日本栄養士学会の特定認定制度における「食物アレルギー管理栄養士」として、専門性の高い知識を有する。大学や専門学校での講師経験を活かし、現在は献立監修、レシピ開発、ヘルスケアコラムの執筆など幅広く活動。栄養学の理論だけでなく、保育と調理の現場視点を取り入れ、家族や自分自身の健康を「おいしく、無理なく」支える食のあり方を提案している。エビデンスに基づいた、読み人の心に寄り添う情報発信をモットーとしている。

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