グルテンは体に悪い?気になる健康への影響を管理栄養士が解説

※ヘルスケアライティングアカデミーを卒業した、弊社所属の専門家ライターが執筆した記事です。
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近年、「グルテンは体に悪い」「グルテンフリーにすると痩せる」「肌荒れが改善する」といった情報をSNSやインターネットで見かける機会が増えました。そのため、健康な人でもグルテンを避けた方がよいのだろうかと疑問に思う方もいるかもしれません。本当にグルテンはすべての人にとって体に悪いのでしょうか。
今回は、「グルテンは体に悪い」と言われる理由や、グルテンフリーが必要な人などについて、管理栄養士がわかりやすく解説します。
「グルテン」は体に悪い?
結論から言うと、グルテンは健康な人にとって必ずしも体に悪いものではありません。一方で、セリアック病などグルテンを避ける必要がある人もいます。つまり、「すべての人に悪い」「すべての人が避けるべき」とは言えないのです[1]。
そもそも「グルテン」とは?「小麦」との違いを知ろう

「小麦」は穀物の名前であり、「グルテン」は「小麦」に含まれるたんぱく質に水を加えてこねることで形成される成分です。「グルテン」には、パンのふんわりした食感や、うどんのコシなどを生み出す働きがあり、パンやうどん、パスタ、お菓子など、小麦を使ったさまざまな食品に含まれています[1]。
なぜ「グルテンは体に悪い」と言われるようになったの?
グルテンが注目されるようになった背景には、「グルテンフリー」という食事法の広がりがあります。もともとグルテンフリーは、1941年にグルテンの摂取が原因となるセリアック病の治療として始まった食事療法です。その後、一部の著名人やアスリートがグルテンフリーの食生活を実践していることがメディアで取り上げられたことをきっかけに、海外では健康や美容を目的として取り入れる人が増えました。その結果、「痩せる」「健康によい」といったイメージが広まりました。米国では2008年以降、低炭水化物ダイエットなどと同様に、グルテンフリー食品へ関心が高まり、市場も拡大しています。
こうした背景から、「グルテンは体に悪い」「グルテンフリーの方が健康によい」というイメージが広まりました[1]。
「グルテンフリー」にすると本当に痩せるの?

「グルテンフリーにすると痩せる」と言われることがありますが、現在の研究では、健康な人がグルテンフリーな食生活にすることで体重が減るという十分な科学的根拠は示されていません。さまざまな著名人がグルテンフリーの食生活を取り入れることでダイエット効果を実感したという経験談をメディアで語っていますが、その結果がグルテンを除去した効果なのか、それともパンやパスタ、菓子類などの小麦製品を控えたことで摂取エネルギーが減った結果なのかを区別することは難しいのが正直なところです。また、小麦製品を控えることで炭水化物やエネルギーの摂取が減少したり、グルテンフリー食品は入手しにくく、選択肢が限られたりすることが、体重減少につながる可能性も指摘されています。
そのため、「グルテンフリーにすれば誰でも痩せる」と考えることを裏付ける十分な根拠は、現時点ではありません[1]。
「グルテンフリー」を実践した方がよいのはどんな人?
グルテンフリーが必要となる代表的な疾患はセリアック病です。セリアック病では、グルテンの摂取によって免疫反応が起こり、小腸の粘膜が障害されます。そのため、治療として生涯にわたるグルテンフリー食が必要とされています。また、小麦アレルギーでは、小麦に含まれるたんぱく質によってアレルギー反応が起こるため、小麦の摂取を避ける必要があります。さらに、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーのように、小麦が症状の引き金となる疾患もあります。このように、病気や体質によっては、グルテンや小麦を制限する必要がある人もいます[1,2]。
「グルテン」を正しく理解して、自分に合った食生活を

「グルテンは体に悪い」という情報を見ると、不安になる方もいるかもしれません。しかし、現在の科学的根拠では、グルテンはすべての人にとって有害なものではありません[1]。大切なのは、「グルテンは悪い」「グルテンフリーなら健康によい」と極端に考えるのではなく、自分の健康状態や体質に合わせて食生活を選ぶことです。健康情報があふれる時代だからこそ、話題性やイメージだけで判断するのではなく、科学的根拠に基づいた情報を参考に、自分に合った食生活を心がけましょう。
【参考文献】(すべて2026年8月9日閲覧)
[1] 農林水産省, グルテン関連の疾患とグルテンフリー
[2] 食品安全委員会, ファクトシート(科学的知見に基づく概要書),小麦
著者プロフィール

ブラジル在住・パン教室Eruha主宰・ヘルスケアライター
管理栄養士 エルハ
救急病院にて10年間、NST専従・がん緩和・糖尿病指導・特定保健指導など幅広い栄養に従事。その後ブラジルに渡り、育児の合間に始めたパン作りにのめり込む。現地の小麦粉に合わせた工夫を重ねるうちに、その奥深さと、素材を活かす面白さに惹かれ、パン教室を開校。現在はオンライン中心でパン教室を運営するかたわら、健康や食に関する情報発信にも取り組んでいる。 プロフィールはこちら。
